審査に必要な時間
「大会の運営は審査官同士が連携しながら戦う事を想定してオファーをかける相手を選んでいた……? あり得ない話では無いが、練習も無しにいきなり本番でやらせる事じゃ無いと思うが……」
「練習も無しにと言うが、その練習だって本当にやろうとしたら誰と誰が組む事になるのか一目瞭然になるだろう? そこら辺の事を知られたくなかったんじゃないか?」
一応、大会の運営は俺達相手にも情報を渡すことを渋っていたから、事前に練習時間を設けるって事にはならないだろうな。
「確かに、それが事前にわかってしまったら本末転倒だな。一緒に練習する連中との距離感等からフィールドの規模感を推測しやすそうではあるが……」
「まあ、運営には俺達が戦うフィールドの広さだけでも教えて欲しかったな。これでは策の一つもまとまらん」
結局のところは俺達が想定しているよりもフィールドが大き過ぎたり、逆に小さくなってしまっても、事前に考えていた策は瓦解する。その場合、あらゆるパターンを想定して策を講じる必要があるのだが……一晩では難しいだろうな。
「一応、ある程度の推測は立てられそうだな。まず、私達が戦うフィールドが大きく設定されていればいる程、戦いの時間は長く設定されているハズだ」
「それはそうだろうな。広大なエリアを短い時間で戦わされたら、そもそも敵と出会えないまま終わってしまう場合が考えられる。これでは五百人の順位決めが成り立たない」
さらに付け加えるなら、大会初日の最後の競技という事からスケジュール上は延長する事も可能だと言える。
「そして、フィールドが小さい場合は複数の戦いを同時進行で執り行う必要があるな。何せ五百人と言う人数だ。少数で戦っていたら何時間かかるか分かった物ではない」
「まあ、俺達が出た大会の制限時間が三十分間だからな。流石にそれより短いって事は無いだろ?」
「ああ。それより短いと決着がつかずに終了する組が多くなりすぎる。これも、五百人の順位を決めるという目的を達成出来ないな」
やはり、それなりに広い範囲を取るのだろうな。……待てよ? そうなると制限時間は数時間位はあるって事だよな? だとすると、複数回に分けるって事はスケジュール的に出来ないんじゃないか? 同時進行……という事は、公園全域をいくつかに区画分けして、そこで戦わせる事になりそうだな。だとすると、問題はいくつに分けるかだな。




