取るべき作戦
「ふむ、自然公園の広さはかなりのものだ。ここをフィールドとしてサバイバルないしはバトルロワイアルをやるとした場合、敵を探し出す索敵能力と敵から身を隠す隠密能力はかなり重要になってきそうだ」
俺はテーブルに広げられた地図を眺めながら状況を分析する。現地へ足を運んだ事が無いから土地勘は全く無いが……こいつはかなり不利に働きそうだな。
「敵を見つけ出すところからが勝負だとすると、単純に戦闘能力が高いという点はそこまで役に立ちそうに無いな」
「ああ。隠れる能力と探す能力が必要になる。俺達が出た大会とはスタートラインからして違う事になるな」
風霊祭では、お互いに相まみえる状態からのスタートだからな……それにフィールドも狭く制限されていて、撤退するという選択肢が存在しない状態で戦っていた。ところが今回の状況を考えると、逃げるも戦うも、それどころか徒党を組むのもそこからいつ裏切るのかも全てを個人の裁量で行動出来るようになる。基本的に裏切られる心配の無い審査官側とは言え、中々に厄介な事になりそうだな。
「そうだな。数百メートル以上も離れた場所から攻撃を仕掛けられたら反撃の手段が無い。何とかして近付く必要があるのだが……敵に逃走手段があるとしたら少々厄介な事になるな」
「ひたすら距離を取られながら攻撃されたら、敵から攻撃を浴びるだけでこっちからの攻撃が一切届かないなんて事になりかねないからな。……で、大会の参加者の質と量を考えれば、そういうレベルの選手が何人いても何らおかしくはないというわけだ」
「ああ。これをやられたら正直お手上げだ。物理的に攻撃が届かないのでは話にならん。何とかして近寄る手段を講じねばな」
「一番短絡的なのは、圧倒的な機動力で一気に接近戦を仕掛けるって方法だな」
まあ、それが出来たら誰も苦労はしないって話だがな。
「それは個人の能力の問題だから策も何も無いな。……索敵と隠ぺいはどうだ? 審査官同士で連携を取れれば或いは……?」
「上手く行く可能性は高いな。そもそも今回審査官としてオファーがかかったのが、個人としての戦闘能力よりも複数人のチームでの戦闘において実績のある魔術師との事だからな。もっとも、個人で強い奴はすでに選手として出場しているから選べないって都合があるのかもしれないが」
そうなると、お互いに連絡を取り合う方法が問題になるな。相手が数百メートル離れたところから俺達を感知してくる事まであり得ると考えると、審査官同士で近寄るのも危うい可能性がありそうだな。




