射程の長さ
「千メートル以上の射程ってのは……とりあえず考慮しないとして、数百メートル近く離れた場所から魔法での撃ち合いが始まりかねない事は留意しておいて損は無さそうだな」
オリヴィエの言い方では、千メートル以上離れたところへ魔法を撃ち込めるのはほぼほぼいないものとして考えてもさほど問題は無さそうだ。……と言って、世界最高峰の魔術師が集う大会でもあるわけだ。いてもそこまでおかしい話でもないわけだな。
「ああ。どのような戦いが行われるかはわからないが、自然公園が使われるわけだからな……あれだけ広大な土地を使うからには、その広さを存分に利用したものになると思うが……」
「射程距離がものをいう戦いになりそうだな。よりリーチの長い方が有利になりそうだ」
「いや、そうとも限らないぞ。例え数百メートル離れた場所へ攻撃する手段を持っていたとしても、敵に当たらないようじゃ話にならないからな」
「……なるほどな。敵だってバカじゃないんだ。攻撃が当たらないように回避行動を取るのが普通だろうな。……で、何百メートルも離れているとなると、発射から着弾までにも時間がかかる」
つまり魔法を撃つ側は、敵の動きを見越して魔法を撃ち出す必要があるわけだ。
「遠距離攻撃の良いところは、相手に自分の居場所を悟らせない点だと言われているが……バレたら一気に不利になるな」
「他にも、例え魔法の射程距離が長いと言っても、敵を見つけ出す事が出来ないのでは話にならないわけだ。索敵魔法も使って来るだろうな」
「その索敵も杖の影響でリーチが伸びるのか？」
「ああ。その通りだ。つまりお互いに探知し合って、より遠くから敵の位置を特定する事が勝負の分かれ目になりそうだな」
より遠くから敵の情報を掴んだ方が有利と言うわけか。問題は、索敵の範囲と射程距離のどちらが長いかだ。前者なら敵の位置を特定しながら作戦を立てて戦う事になるが……もしも後者だとしたら手痛い反撃が来るのを覚悟する必要があるからな。
