大型の使い道
「小型化か、大型化の二極化か。小型は持ち運びに便利そうだからわかるが……大型の杖を使う奴もいるのか?」
「勿論いるぞ。何と言っても大型の方が性能の面で優れているからな。ミーシャが持っている杖がその大型になる」
「なに? そうなのか?」
杖の話をしていると、オリヴィエが唐突に新しい情報を喋る。確かにミーシャは荷物もオリヴィエの部屋に運んでいるハズだから杖をオリヴィエに見られていても不思議では無いな。
「ああ。そうだよな? ミーシャ」
「二人みたいに接近戦をするつもりは無いからね」
オリヴィエが確認を取るようにミーシャに話しかけると、ミーシャは資料を読みながら、視線をオリヴィエに向ける事無く答えた。
「そういうわけだ。接近戦を絶対にしないと決めているなら、十分あり得る選択肢だと言えるな」
「接近戦ではやはり不利に働くのか」
「それはそうだろう。折れたらおしまいだからな。そんな不利を補って余りある程、射程を伸ばす事には利点が多いというわけだ」
射程が伸びるだけでそこまでのメリットがあるのか。……まあ、敵にこちらの存在を勘づかれるよりも遠くから攻撃が仕掛けられるのなら、使う価値はあるだろうな。
「その射程と言うのはどこまで伸びるんだ? 身を隠しながら敵を攻撃出来たりするものなのか?」
「物にもよるが、道具と訓練次第では百メートル以上離れた的にも攻撃を仕掛ける事が可能になる」
「ほう。随分と伸びるのだな」
「それから、どこまで本当かはわからないが、キロメートル……つまり千メートル以上離れた場所に魔法をぶつける事が出来たという話も聞いた事がある。勿論、最高級の道具と人材を合わせて使う事が大前提だが」
千メートル以上も離れた的に、魔法を直撃されるのかを確かめるのは至難の業だな。
「絶対にいないとまでは断言出来ないが、もしもいたら本当に一方的なバトルになりかねないな。今度の大会で、持ち込んでくる選手も相当多いんじゃないのか?」
「まあ、戦闘で使う回数が増えれば増える程、予め持ち込む者は多くなるだろうな」
使い道がハッキリとしている分、使うべき状況ってのが想像しやすいわけか。




