性格が出る選択
「ああ。盾を必要とする状況と言うのは基本的に接近戦だからな。そんな状況下で煙幕によって視界を遮る事で戦いを有利に運ぶ事が狙える」
「敵に接近された状態なら、少ない煙幕でも敵の視界を完全に覆い隠す事が出来るからな」
「逆に短所は貴様の言った事のちょうど逆で、距離を取った状況で使っても視界を遮り難い……むしろ、自分自身の視界を遮ってしまう恐れがある事だな。他にも複数人に囲まれている状況の場合、あまり効果的とは言い切れなくなってくるな」
まあ、煙幕単体での効果なんてそんなものだろう。相手の視界を封じたところで、追跡方法なんて他にも山ほどある。煙幕を逃げる目的で使うのであれば、ある種、催涙ガスのような視界を封じるだけにとどまらず、視覚そのものにダメージを与えるような工夫が必要になってくるだろう。……もっとも、そんな事をすると自分もその影響を受ける事になるだろうから、煙幕で視界を遮りながら奇襲を仕掛けるというのは難しくなってしまうがな。状況に合わせて複数種類の煙幕をばら撒けるようにするのが理想だが……そう簡単な話でもないのだろう。
「逃げに徹するのであれば、煙幕に毒でも混ぜるのが効果的なんだが……それで自分が吸ったら本末転倒だしな」
「毒か。毒を吸わないようにマスクを事前に装着しておくか、自分で使う分には毒の主成分は把握しているだろうから、事前に薬でも投与しておくかくらいしか無さそうだな」
「そこまで用意周到なら言う事は無いが……それならそもそも煙幕を発生させるための道具を持ち歩けば良いだけの話だ。盾に付与させる魔法と考えるなら、防戦になってしまっている状況での運用が前提になるだろうから……使うタイミングは限られそうだな」
正直、使わずに終わる事の方が多くなりそうだな。
「そこは盾に付与させる魔法をどのように捉えているかが重要になるな。装備の機能の一つとして認識するか、それとも最後の切り札として認識しているかでかなり違って来るハズだ」
「頻繁に使うのであれば、魔法の内容は使いやすい方が良いだろうな。単純に盾の強度を伸ばせるように防御系の魔法か……それとも攻撃系の魔法を付与するか。逆に、敵に何の細工も施していない普通の盾だと誤認させて、ここぞというタイミングで魔法を使うという目的なら、搦め手として有用な魔法を選ぶだろうな」
まあ、そこは使用者の性格が出るだろうな。付与する魔法の方向性を含めてな。




