マイナーを選ぶ理由は無い
「……まあ、名前を知ってるかどうかってのは重要だろ。聞いたことも無い名前の製造元の製品なんて怖くて手が出せない」
まあ、普通にいるのかもしれないが、それは値段とかそういう要素も関わってくるところだな。
「確かに、どんなに詳しくてもどちらを買うべきか甲乙つけがたい状況と言うのはあるだろうからな。その時決め手になるのは知名度になるだろうな。詳しくなければなおの事その傾向は強くなるだろう」
「価格と性能が高い水準でまとまってる製品が二つあったとして、どちらを選ぶかは運の要素が絡んでくる事もあるだろうしな。そんな中でわざわざマイナーな方を選ぶ理由は無いし、ましてやそれが素人だったら、なおさら一度は聞いたことのある名前の方を選ぶのはごく自然な流れだな」
なんだったら、名前を聞いた事のある方が多少劣っていたとしても、一般客は知名度のある方を選ぶだろう。
「確かに素人にはそこら辺の判断は出来ないかもしれないな。そもそもの話、値段や性能の相場もわからないだろうしな」
「その通りだ。多少割高だったとしても、それを客が理解していないのであれば何の疑問も持たずに買ってしまうだろう」
そもそも疑問を持てと言う方が酷な話まであるからな。そこまで詳しくわかっているのなら逆に何を買うべきかで悩みはしなくなるだろう。
「言いたい事はわかるが……しかし、そういうものは一過性なのではないのか? 実際に買ってみれば良し悪しはわかるハズだし、使用者からの意見を聞くという方法もある」
「良い物は売れるという理論だな? 確かに間違ってはいないが、それが通じるのは何年間も同じ商品を売る店……例えばレストランとかの類だな。だが、もしもこれがバッグだとか靴とかだったらどうだ? 来年には新しい物が出て来るかもしれないし、それらの物と比較しても良い物としての水準を保てるか。という問題がある」
まあ、ブランド物のバッグとかだったら最新である事が重要視されるからまた話は違って来るが……もしもこれが魔道具の類だったらどうなるか。数年前の商品だから数年前の基準で評価されるかと言われてらそんな事は無い。普通に現代の基準で評価される事になるだろう。では、その商品は数年後も高水準と評価されているか……? その可能性は低くなっていくだろうな。つまり、良い物だから売れるには限度があるわけだ。




