繋がりの作り方
「なるほどな……国が特定の組織を支援しているってよりも、その組織から支援を受けていた連中が国の上層部にまで出世しているって状況が発生しているのか」
言ってみれば、青田買いをしているようなものか。もしも出世してくれれば、その立場からギルドが有利になるように働きかけるわけだ。
「ああ。そういう事だ。私達のところでも限度の違いはあるものの、似たような事は発生しているからな」
「なら、同じ事を考える連中は他にも山ほどいるよな? そいつらは黙っているのか?」
聞いてる限りだと、魔道具を作ってるギルドがダントツで優遇されているように聞こえる。
「まさか。他の者達だって、自分に有利になるような法案や政策を打ち出すように働きかけているハズだ。だが、そういった事を狙えるのは国の上層部のみ……実力でそこへ上り詰めるには、火霊祭での優秀な成績が必要不可欠になってくるわけだ」
「……そういう事なら、火霊祭での勝利に貢献出来る組織程、強い影響力を持つようになるな」
より優れた魔術師を決める大会で、より優れた魔道具を使う事による優位性は計り知れないものがあるハズだ。だとすると、魔道具メーカーは想像以上の影響力を持つ事になるだろうな。
「そうだな。魔道具メーカーだけではない。家庭教師や何やらで、この国で強い影響力を持っている職種は思ったよりも多いだろうな」
「まあ、そいつがいなかったらこんなに良い成績を残す事は出来なかったと思われるようなところなら、みんなそういう考えになるだろうな」
国のお偉いさんになったとしても、恩師や恩人の類は強い繋がりを持ってしまうからな……そういった人物にロビー活動をやられたら、そう無下にも出来ないだろうからな。
「火霊祭での順位を考えるのであれば、やはり何と言っても道具の良し悪しはもっとも分かりやすい指標となるだろうな。例えば上位百名の内、半数近くが特定の道具を持っていた場合、それだけでその道具は評価されるし、需要も増すだろうしな」
「まあ、一般客はそれだけ品質が素晴らしいのだろうと考えるだろうな」
有名人にアクセサリーだの何だのを付けさせて宣伝するのと似たような構図だな。少し厄介なのは、大会が始まる前から有名な連中と、大会が終わってから有名になるような選手と両方に自社製品を使ってもらう事だな。特に後者は確かな目利きが必要だから、かなり難しいな。かと言って、最初から有名人な選手なんて、自分以外にも自分のところの道具を使って貰いたいと考える組織は多いだろうから倍率は高いし、実際に使って貰える機会は少ないだろうな。




