結局はそういう話
「……って事は、伐採された木材を業者に渡して……いや、その理屈で考えれば木の伐採も業者に頼むか?」
国の役人にそんな専門技術があるとも思えないからな。普通に考えたら木の伐採から木材の乾燥……その後のブランドメーカーへの搬入に至るまで業者に任せた方が効率的だな。役人がやる事と言えば、それら一連の流れの立ち合いくらいのものだろう。
「確かに木を伐採するのも素人がやる事では無いな」
「なら、役人はほぼ立ち会うだけで、基本は業者に丸投げか。そう考えるといよいよ競りに出しても関係なさそうだな。逆に何で引き渡す相手が固定されているんだ?」
わざわざ国が安値で引き渡す理由はなんだ? 普通にオークションに出せばもっと良い値段が付くだろうし、高値で売れれば収入は土地の持ち主になるだろう。……つまりは公園を管理している国にだ。この利益を無視する意味がわからん。
「表向きの理由としては国が営利目的で由緒ある素材を売るわけにはいかないとされているが……実際は売り上げの何割かを回収しているという噂もある」
「そんな噂が……それだと国は得するのか?」
「さあな。正直微妙なところだとは思うぞ? だが、オークション等の真っ当な値段で売買すると、その木材を原料とした魔道具の値段は跳ね上がるからな。それだとせっかく作った魔道具が売れない可能性もあるな」
「それは魔道具を売っているメーカーの問題であって、国が抱える問題じゃないよな?」
原材料の価格高騰で商品の値上がりをせざるを得ないってのと、そのせいで売り上げに悪影響が出るかもしれないってのは理解出来るが……それを原材料を供給している生産者側が、ましてや国が気にするような事でもないと思うが。
「ああ。だから売り上げの何割かを渡しているんじゃないか……とか言われているわけだ。先に現金を払ってから商売をするより、売り上げを確保してから材料費を渡した方が色々と動き易そうだからな」
「言いたいことはわかるが、それで得するのは国じゃなくて魔道具を作っている組織だよな? 何で国はそうまでして一部の組織を優遇するんだ? 反発があるのはわかり切ってる事だろ?」
「その国の重役と魔道具を作っている職人ギルドとの繋がりが強いようだな」
結局は、そういう話に集約されるわけか。




