樹木の品質管理
「資源と言い、チケットの転売と言い、相当やらかしてる国だな」
「そうだな。……まあ、そのせいで今年の火霊祭は開催期間が短くなったし、それに合わせて予算も減ったから、運営委員会が割を食った形になったな」
「しわ寄せが現場に行ってるじゃねえか……」
見た目でわかりやすいのは運営への制限なんだろうが……資源の流通なんてのはもっと上の階級の連中が決定しているんだから、下の階級を規制したところで意味は無いハズなんだがな。
「なまじ、それなりに対応出来てしまったのが不運だったな。チケットの転売対策も運営に出来る範囲ではやれるだけの事はやっているし、そもそもの大会スケジュールも根幹である最終日以外でも見どころがあるように創意工夫をしているみたいだしな。流石に優秀なスタッフが揃っているようだ」
「典型的な経営戦略をミスってる組織じゃねえか……」
「まあ、商人の集まりじゃなくて役人の集まりだからな。一応、大会の運営委員会は民間から融資を募っているが」
現場がどんなに頑張っても上の連中がやらかしまくってくれてる事でむしろマイナス方面に伸びてる気がするが……運営は良くモチベーションを保ってられるな。
「これで今年も樹木を競りに出さなかったらさらに予算を削られるんじゃないか?」
「かもしれないが、そもそも今年は競りに出ない事はすでに決定しているハズだぞ」
「なに? そうなのか? ……いや、それもそうか。樹木が一年やそこらで魔力を吸い上げて一気に成長するなんて事が起こるわけ無いか」
「それも確かにその通りなのだが、そもそもの話、今年売りに出される樹木はとっくの昔に伐採されている。確か、木材と言うのは伐採してから最短で半年……長いと数年間は乾燥させる必要があるらしいからな」
確かに木造建築で使用されるような木材はそれくらい乾燥させる必要はあるが……乾燥させてから売るのか。良く管理出来るものだな。
「まあ、魔道具を作ってる職人も木材の乾燥まではやらないか。しかし、流石に役人がやってるって事は無いよな? いくらなんでも業者に委託してるだろ?」
「それはそうだろう。わざわざ専門家じゃない者に任せて品質を不安定にさせるメリットが無いからな」
まあ、流石にそこは大丈夫か。




