敗者復活戦はあるのか?
「単純に競技を管理しきれないという点で、最後まで生き残った百人を勝ち上がりとするのは無理があるな」
どう考えても、正確に人数を把握しているわけが無いのだし、ちょうど百人を選ぶのは無理があるな。
「まあ、予想以上に脱落者が多過ぎた時は敗者復活戦でも何でもやれば良いと考えるなら問題は無いんだが……この敗者復活戦を何人でやるかで問題が発生するだろうからな」
「何人で? そんなのが関係あるのか?」
「あるさ。例えば、九十人が勝ち残って十人が定員割れを起こしたとするだろう? この場合、脱落者の中から十人を選ぶ必要があるわけだ。……で、敗者復活戦を行う以上は戦う人数は十人を上回るわけだ」
敗者復活戦で得られるものが十人以下では本末転倒だしな。
「それはそうだろうな。十人足りないのに、敗者復活戦で選ばれるのが十人以下では復活戦をする意味が無いからな。確実に十人を上回る事になるだろう」
「問題なのは、十人以上ってのが具体的に何人なのかと言う点だ。本当に甲乙付け難い……時の運でいくらでもひっくり返るような拮抗した実力差ならともかく、十人以上も集めておいて、全員の実力はほぼ同じって事も無いだろう」
そう、実力差は確実に出るハズだ。それこそ敗者復活戦に参加する一番上の実力者と、一番下の実力者の実力差は大きく離れているかの可能性は高い。そうなってくると、問題なのは一番下の魔術師は何故選ばれたのか、一番上の実力者は何故敗者として復活戦に出る事になったのかと言う点だ。
「確かに……敗者復活戦に出るであろう選手達の中にも、上位下位の区分はありそうだな」
「その上位層は、意味も無く新しい別の競技に巻き込まれている可能性もあるわけだ。さっきの例えで言うなら、十人足りないとするのではなく、敗者復活戦に出る予定の五人を合格扱いにして、残りの五枠を競わせた方が良いハズだ。……もっとも、これを突き詰めていくと枠なんて全部埋まりそうなものだけどな」
百位以内の大台に入るか否かというボーダーラインなら、俺達ではない審査官達が厳しく取り締まっているだろうから、より正確に順位を把握している場合がある。それこそ敗者復活戦なんて必要ないと言っても過言では無い程正確にな。




