運営の狙い
「明日勝ち上がる百名の選手達に、それ以降の戦いに参加させる余力を残さないように追い込むというのは理解出来るが、一応は一晩は泊まれるわけだろ? そりゃあベストなコンディションを維持出来る選手はその分減るとは思うが……残り百人からの生き残りにそこまでの影響を与えるものなのか?」
運営の想定としては選手達を心身ともに追い詰め、あえてコンディションに格差が生じるようなルールで戦わせるつもりのようだ。そうやって先の事を見据えて行動させるのを見越しているのだろうが……一晩もあればそれなりには回復も見込めるハズだ。それとも、一晩休んだくらいじゃ回復しないようになるまで戦わせるつもりなのか?
「ああ。一晩休めるからには、それを計算に入れて勝ち上がれる選手が有利になる。端的に言えば、残り百人から五十人にまで絞り込むための競技を円滑に進めるための布石を打つのが目的の戦いになるわけだ」
「そうか……ベストなコンディションを維持出来る選手と出来ない選手で二極化させるのが狙いなわけか」
明日の段階で最終的に残る百人の選手……その選手達は次の競技で半数である五十人が脱落する。そこでコンディションの良し悪しを二極化させる事で、脱落させるための五十人を前日の段階で炙り出そうって魂胆なわけか。
「ああ。回復しきれなければ次の競技で脱落だ。逆に、盤石に勝ち残れるであろう選手は私達の出番が終わった時点である程度予想出来るようになるわけだな」
「それなら、トップ層は……いや、それに限らず、いかにして体力を消耗しないように勝ち残るかを考える事になるだろうな」
「意図的に戦力を出し惜しみさせるわけだ。そうやって選手達に消極的な策を取るように誘導させて、私達が撃破していくというのが基本的な方向性になるだろうな」
なるほどな……全力で戦えないように後々の事を考えさせつつ、その全力を出せないでいる選手達を俺達が倒して行くわけか。そして、弱い選手は最初から出し惜しみ無しで戦うだろうから、勝ち残る可能性が少しばかり上昇するわけだ。




