誰の部屋に集まるか
「晩御飯はどうする?」
説明会が無事に終わり、自分の部屋に戻ろうと歩いている最中にミーシャが話しかけてきた。
「どうするってのは、ルームサービスを使うのかって事か? 俺はどっちでも良いと思ってるが」
「ふむ、夕食ともなると、流石に我々が鉢合わせする可能性が高くなりそうだな。ここは部屋で大人しくしてルームサービスを利用した方が良いと思うが……」
どっちでも良いと答える俺だったが、オリヴィエは食堂には行かない方が良いという考えのようだ。
「一理あるな。それなら、俺達は部屋から出るのは控えて各々の部屋でルームサービスを利用するって事にするか」
「なんだ。別々に食事をするのか」
「ん? そりゃあ……ルームサービスなんだからそうなるだろ」
「別に一つの部屋で食べても問題は無かろう。先ほど貴様が言っていたように、策を考える時間の多さが我々に与えられた優位性ならば、それを利用せん理由は無い」
時間の許す限り作戦を考えるべき……というのはその通りだ。実際に組んで戦うというのであれば、綿密なミーティングが必須になる。
「俺達三人で作戦を練っておくって事か? 確かに何もしないで明日を迎えるよりは有意義な時間の使い方だが……」
「決まりだな。なら、誰の部屋に集まる?」
集合場所は俺達三人の泊まっている部屋のどれかか。まあ、わざわざもっと他の場所で話す内容でも無いか。それどころか、他に聞いている人間がいないという状態を作るには、俺達三人の泊まっている部屋のうちのどれかとするのが合理的だろうな。
「別に誰の部屋でも良いとは思うが……」
「ならば貴様の部屋で良いか。私の部屋は荷物が多いし、ミーシャの部屋は綺麗な状態だ。わざわざ部屋を汚す事も無いだろう」
一瞬で俺の泊まっている部屋に集合する事が決定したな……まあ、ミーシャの泊まっている部屋が綺麗な状態を保っている以上、わざわざ部屋に上がり込むのも気が引けるというものだ。そしてオリヴィエの泊まっている部屋にはすでに二人分の私物が置いてあるとすればなるほど、余裕があるのは俺の部屋だけという結論になるな。
「俺の部屋に集まるってのは別に良いが、それでわざわざルームサービスで三人分の食事を俺の部屋に集めるってのはどうなんだ?」
ミーティングは夕食を食べ終わってからでも問題は無いと思うのだが……そんなに語る事が多いのか?




