当日までわからない
「俺達は会場とは違う場所で戦わされるのか? それならそれで構わないから、そっちの集合場所を教えてくれ。直接そっちへ向かいたい」
解説役の人の説明を聞いていると、審査官としてこの部屋に来ている人の一人が解説役の人に向かって質問をする。確かに別の場所へ移動する事になるのであれば、一度火霊祭の会場へ足を運ぶ必要も無くなるな。
「先ほどの質問に対する回答になりますが、審査会場の場所につきましては大会当日になるまでお教えする事がかないません」
「何故? 我々を用も無いのに会場に呼び出す意味があるのですか?」
「そもそも、今更隠す必要も無いだろ? ここから北にある国立自然公園で立ち入り禁止の封鎖がされている場所が何か所かあるのは地元の人間ならすでに噂になっている。……そこが我々の戦う場所なんだろう?」
質問した者とは、また別の人が質問を投げかける。自然公園……? 確かに多くの審査官と選手が戦うとなったら、人のいない、開けた場所が必要になる。そういう意味では自然公園というのは良い選択だ。人払いしてさらに封鎖まですれば、一般人が紛れ込むという事態にならないだろう。
「場所に関しましてはお答えできません。……が、その場所へ直接移動される事は控えていただきたい明確な理由はございます。それは、審査を行うための会場を用意いたしましたが、どの会場に誰を派遣させるかに関しましては当日まで未定となっているからでございます」
俺達が戦うであろう場所は複数個所あるのか? 何気に俺達全員と選手全員でバトルロワイアルをやるという可能性は無くなったようだな。それはそれで俺達にヒントを与えてしまっているような気もするが。
「まだ決めていない……? 場所をリークされるのを警戒しているだけでは?」
……また、直球で質問を投げてきたな。事前に教えたら実際に使用するまでの間に色々と細工や下調べが出来てしまうからな。それを避けるためにギリギリまで俺達に教えないつもりなのだろう。
「……お答えできません」
「……質問は以上だ」
これ以上の質問はしても無駄だと判断したのか、その人物は大人しく引き下がった。
「えー、先ほどの質問の通り、皆様方にはまた別の場所へ移動していただく事になりますが、それが決まってから告知するために、皆様方には一度火霊祭の会場にまで集まっていただく必要があるわけです」
まあ、俺達が信用出来ないからとは言えないだろうから、当日まで確定していないという言い方をしているのだろうな。




