説明会は昼過ぎの予定
「ふむ、予定では朝には会場に集まるようだな。しかし、説明会があるのが昼過ぎになるというのはいったい……?」
オリヴィエは用紙に記載されている内容を読みながら独り言を呟く。
「確かに。昼に説明会があるなら、俺達が集合するのもその時間帯でも良さそうなものに思えるな」
オリヴィエの指摘通り、確かに俺達審査官が朝に集合する意図がわからない。どのみち、俺達の出番は午後になるのだから、わざわざ朝に移動しても数時間は無駄にする事になるぞ。
「えー……皆様方はこのようにお思いでしょう。何故こんなに早い時間に集まらなければいけないのか? 説明会の開始が昼過ぎなら、それまでの間、自分達は何をすれば良いのか? と」
端的に言ってしまえばその通りだ。集合するだけして、その後で何をするのか全く記載されていないのはどういう意図があるんだ?
「早く集まらなければならない理由があるという事か?」
「そういう事になるな。考えられる可能性としては、当日何らかの事情で審査官として出られなくなった場合を考えての事か? それなら欠員の補充のために時間が必要だってのは理解出来る」
こういうのには補欠のようなものが用意されていると考えるのが普通だろう。そしてその補欠を動員させるにしても、準備に時間がかかるだろうし、早めの集合時刻にして、参加者を調べる必要が出来たのかもしれない。
「朝に集まっていただく理由は、皆様方の出場なさいます、競技の開始時刻が前倒しになる可能性が存在するからでございます」
「競技の前倒し……? 確かにそんな事になったら、ギリギリの時間になってから到着する連中は全員遅刻って事になりかねないな」
運営だって、今までのデータを参照してから予定を組んでいるとは思うが、それでも想定外の出来事はいくらでも起こり得る状況ではあるだろうな。
「理由としましては、皆様方が参加なされます審査会場が別の場所にあり、そこへの移動のために時間がかかる事が予測されるため、集合時刻を早く設定させていただきました」
……俺達は別の場所で戦わせられるのか? まあ、会場の広さに余裕があるとも思えないし、別の場所への移動の時間も含めて空白の時間が長いのかもしれないな。




