会場の広さ
「……まあ、どんなに考えたところでわかるわけもないか。それに、焦らなくても明日には説明されるしな」
「そういうわけだ」
そんな事を話し合いながら、俺達はホテル二階の会場に辿り着いた。
「……まさかこれ程の人数が集まっていたとはな……」
会場に入った瞬間に、その会場の広さと中にいる人数に驚いた。数十人はいるかと予想していたが、見た感じ八十人近くはいるか……? これでまだ予定の時間にはまだ少し余裕があるのだから、ここからさらに増える可能性すらあるわけだ。
「これは……ホテルの四階どころではないな。もっと上の階も含めて貸し切りにしてたんじゃないか?」
会場の光景を目の当たりにして、オリヴィエも感心したように呟く。
「それくらいの人数は楽に超えているな。……ところで、座る場所は決まっているのか?」
まるでセミナーでも開くのかと思う程の人数だが、人数に対して会場の広さは何回りか大きいような気もする。この時間帯からさらに参加者が爆増でもしない限りは自由に座っても問題は無さそうだが。
「さあな。特にそういう指示はされてなかったし、入口にもそういう張り紙はなかったぞ」
確かに、座る場所が決まっているならその張り紙が入口付近に張って無ければおかしい。特に無いという事は、自由席か。
「そういう事なら、さっさと座るぞ」
「前の方に座るの? もっと後ろの方でも良くない?」
前の方の席に座ろうとする俺をミーシャが呼び止める。
「後ろの方に座って、話が聞き取れなかったら困るだろ」
「まあ、そうだけどさ」
幸いな事に、前の方の席はかなりの数の空席が目立っていた。ここなら自由に座っても問題無いだろう。
「それにしても、良くこれだけの人数を集められたものだな。ここにいる全員が審査官に選ばれた実力者か」
「そういう事のようだな。……で、俺達が明日相手をするのは、ここにいる連中よりさらに上澄みの魔術師をも含めた合計五百人の選手ってわけだ。わかってはいたが、相当な無理難題を吹っ掛けられたものだな」




