熟睡出来なかったら
「あー……良いんじゃない? 別に人がいても寝れるし」
「私も別に構わないが……」
「なら、それで良いだろ。俺も時間まで部屋で待機しているから、何か用があったら来てくれ」
お互い、同じ部屋にいるのはそれほど苦でもないらしい。ミーシャは昼飯までオリヴィエが泊っている部屋で寝る事で決定した。
「あー……ちょっと待て。寝る前に一つやっておく必要がある事がある」
「なんだ?」
俺も部屋で待機……もとい、時間まで寝るつもりだったが、不意にオリヴィエに呼び止められた。
「なに、大した事ではない。馬車で運んだ荷物があるだろう。それの確認だ」
「ああ、あれか。と、言っても空港から出る時に確認したんだから問題は無いと思うが……」
空港からこのホテルに到着するまで、俺達は馬車から降りていないわけだから、荷物に触れられる奴なんていない事になる。荷物に何か問題が発生する確率はかなり低いハズだ。
「一応、念のためだ。それが終わったら自由にしてくれてかまわない。肝心のその荷物は、待っていればすぐに来るハズだ」
オリヴィエの言葉通り、俺達の荷物をホテルマンが運んでくるのが見えた。
「あ、ありがとうございます」
「部屋の中で確認してくれ。恐らく問題は無いと思うが……何か問題があったら私の部屋まで来てくれ」
「私は? 荷物はあっちに持ってった方が良いの?」
そう言いながらミーシャはオリヴィエの泊まる部屋を指さしだ。
「……いや、昼食の後は自分の部屋に戻ってもらって構わんから、荷物も自分の部屋に入れておけ。明日の朝、出発するまで手元にあった方が良いだろう。準備もあるしな」
「朝の寝起き、悪そうだが……流石に明日は寝坊するなよ?」
「……微妙かな」
「おいおい……それだと夜まで同じ部屋に泊まる事になるんじゃないか?」
流石にそれは熟睡出来なかったら大変な事になるだろう。
「それもありかもね」
「私は別に構わんが……本気か? ベッドは恐らくシングルだぞ?」
「部屋から枕を持ってくれば大丈夫でしょ」
シングルベッドで二人寝るのか……まあ、オリヴィエが身長があるとは言っても、女二人なら問題は無いか……? それに、ミーシャは小柄だしな。
「まあ、それで良いか。じゃあ、昼にまた会おう」
「ああ。またな」
ミーシャは自身の荷物をオリヴィエの部屋へと運んで行った。その後、自分が泊まるハズだった部屋から枕を取って来ると、オリヴィエの泊まる部屋へと入って行った。俺も自分の部屋へ入って、荷物を確認すると、さっさと寝る事にした。




