鍵の管理
「ま、まあ、私もホテルから出る予定は無いが……」
「だったら、無理に集団行動を取る必要も無いんじゃないか?」
結局のところ、三人とも部屋から出るつもりが無いのだから問題は起きないハズだ。
「いや、それはそうなのかもしれないがな……」
「とりあえず、私は部屋に行ったら寝るから、ご飯の時間まで起こさないでね」
「睡眠時間を考えるなら、時間は少しでも長い方が良いな。二時頃で良いんじゃないか?」
「なるほどな……起こしに行くのは良いが、ちゃんと起きれるのか? 朝起こす時はそれなりに苦労したぞ?」
昼食は二時に食べるというのは納得した様子だが、その時間にミーシャが起きる事に対してはやや懐疑的な表情をしていた。
「大丈夫でしょ。お腹が空いたら目も覚めるだろうし」
「本当に大丈夫だろうな?」
「部屋に上がるのは……ダメか。鍵は一つしか無いんだし」
ミーシャが部屋の扉をノックしても起きない場合、どうやって起こすのかと考えたが、あまり良い策は思い浮かばないな。
「時間までに起きなかったら、私達だけで食べに行くという事になるな」
「そこは部屋に上がって起こしてよ。鍵は渡しとくからさ」
そう言いながらミーシャは、オリヴィエから渡された鍵を再びオリヴィエに渡した。
「……いや、私がコレを持ってたら自分が出入り出来なくなるだろう」
「いいよいいよ。どうせ部屋からは一歩も出ないし」
「まあ、確かに部屋から出ないなら悪くは無いな。要は最初にオリヴィエがミーシャの部屋の鍵を開けてやれば良いだけの話だし」
ミーシャ自身が鍵の管理をしないというのはどうかとは思うが、そこさえ度外視すれば問題は無さそうだな。
「しかし、部屋から一歩も出れない事になるぞ? 部屋から出ようにも鍵をかけられないわけだからな」
「出なきゃ良いんでしょ?」
「しかし、急用が出来るとか色々とあるのではないのか……?」
オリヴィエの心配ももっともだ。……いや、と言うより、オリヴィエの方が正しい意見を言っているな。




