外の用事は無い
「確かに……昼食の時間が終わるギリギリなら他の審査官と会う可能性が低いというのは一理あるな」
「だが、他の連中も同じ事を考えるかもしれんぞ?」
「……確かに……どうすべきだ……? 早めに行くか、それとも時間ギリギリに行くか……」
オリヴィエはかなり迷っている様子だ。
「別にどっちでも良いんじゃないか? どうしても選べないというのであれば、ルームサービスを利用すれば良いだけの話だろう」
「そうなると、もしも私がルームサービスを利用する場合、その旨を教えるために部屋に行く必要があるが……」
「……そもそもの話、一緒に食べる必要が無いんじゃないか? 別に問題無いだろ。別々の行動を取っても」
無理に集団行動を取る必要も無いはずだし、決められた集合時間まで各自自由行動を取ってても問題は無いだろう。
「いや……しかし、一人で食堂に行くのは……」
「? 何か問題があるのか?」
「周囲の客が家族連れやグループで食事をしている中、自分だけ一人で食べているのはな……」
「いや……普通にいるだろ。一人旅の客くらい」
どこを気にしてるんだこいつは……別に一人でも問題無いと思うが。
「どうかな? 学生が一人でホテルに泊まってるのはおかしくない?」
「家族や友達がいないのは不自然って事か? ……まあ、万に一つ、何かあった場合どうするんだって話になるし、一人旅はさせないか……」
普通に保護者が同伴じゃないかどうか尋ねられる可能性もあるだろうな。……で、保護者がいないとなると、家やら学園やらに連絡が行くって事もありえるかもしれないな。
「そ、そう。そうだ。私が一人でホテルを歩き回るのは不自然だろう?」
「それを気にするなら最初からルームサービスを利用すれば解決する問題だろう。……いや、待てよ? ずっと部屋の中で待機しているならともかく、何かあった時に連絡が取れないって事を考えるなら……単独行動は避けた方が良いのか。それこそホテルの外を一人で出歩いて迷子にでもなったら、面倒な事になるな」
まさかホテルの中で迷子って事にはならないだろうから大丈夫だとは思うが、ホテルから出るとしたら問題はありそうだな。
「ああ。ホテルから出る事を考えたら一緒に行動した方が良いだろう?」
「……ミーシャは出かけるつもりが無いようだし、俺もそのつもりは無いから、お前が出かける用事でも無い限りは部屋で待機していると思うぞ?」
ミーシャは時間まで寝てるって言ってたからな。俺も用事も無いのに部屋から出るつもりは無いから、オリヴィエに用事が無いなら三人とも部屋に籠ってろって結論になる。




