ホテルに到着
「良し、到着したぞ」
朝食を馬車の中で食べながら移動していると、コーヒーを飲み終わらないうちに目的地であるホテルに到着したようだ。
「そんなに近かったのか?」
「ああ。荷物はホテルマンが運ぶから我々はこのままチェックインをするぞ。それからゴミはこっちで処分しておくからそのまま置いておけ」
俺はコーヒーを飲み干すと、そのまま馬車から降りた。かなり大きいホテルだ。世界中から審査官を集めているのだから小さなホテルでは収まりきらないという事か。
「流石に大きいな……このホテルからだと会場は遠いのか?」
「まあ、明日の大会に備えて泊まるとしたら、後ろから数えた方が早いくらいの選択肢だな」
ここより遠いホテルだったらそもそも観戦しに行くのを断念するレベルの距離か。
「移動には相当な時間がかかりそうだな?」
「そこは、どうとでもなるだろう。それより、ホテルマンの案内に着いて行くぞ」
会場までの移動には何か特別な方法を取るのか? ……まあ、そういう事にもなるか。審査官の人数がどれほどかはわからないが、その全員が徒歩で移動となると、周囲の人間からみたらかなり怪しい集団に映るだろうからな。恐らく転送魔法だろうな……会場なら関係者以外立ち入り禁止の場所くらい幾らでも用意出来るだろう。
「そういえば……どこの部屋に泊まるかは決まっているのか?」
「ああ。そのハズだな」
まあ、それはそうだろうな。わざわざ早い者勝ちで泊まる部屋を決める意味が無いしな。……それどころか、今ここで泊まる部屋を決めていたら他の客から怪しまれる事になるだろう。
「まあ、一晩泊れればどこでも良いか」
ホテルのフロントまで移動すると、ホテルマンがカウンターから鍵を三つ持って俺達に渡してくれた。
「何番だった?」
渡された鍵の番号を眺めながらミーシャが俺に話かけてきた。
「401だな。お前は?」
「403だね」
「因みに私は402だ」
そう言いながらオリヴィエは渡された鍵の番号を俺達に見せる。
「まあ、そりゃあ一か所に集めるよな」
大会当日まで一緒に行動する可能性が高いのに、わざわざ遠くの部屋にする必要も無いからな。
「部屋に着いたらどうする? 別に外を出歩いても構わないが……」
「俺は部屋で待機していよう」
「私も時間まで寝てるよ」
「それなら、時間になったら私が呼びに行こう」
「ああ。頼む」
確か……午後の四時に最上階のホールで説明会だったな。……説明会と言っても、競技の内容に関しての説明は明日になるから、今日やるのは明日の細かい日程や、ホテル内での立ち振る舞いとかその辺りの説明になるのだろう。




