着陸
「……無事着陸したか……」
オリヴィエ達と話をしているうちに飛空艇の高度が徐々に下がっていくのを感じ、着陸時の揺れに備えた。特に大きな揺れを感じる事無く動きを停止した飛空艇入口に、タラップがかけられた。
「すぐに降りるぞ。必要な手続きを済ませたら今度は馬車で移動だ」
そう言いながらオリヴィエは飛空艇から降りて空港へと向かって行く。俺とミーシャもすぐにその後ろについて行った。
「……結構時間がかかるみたいだな」
手続きを進めながら椅子に座って馬車の到着を待つが、いつまで経っても来る気配が無い。
「大会前日という事もあって人が多いのだろうな。一応、この国とは何度も貿易を繰り返してきているから積み荷のチェックは最小限のものになるハズだが……」
「お前んとこの積み荷のチェックが最小限か。客観的には少し恐ろしい話だな」
「何を想像しているのかは知らんが、武器の類なら正々堂々と書類に書くぞ?」
コソコソと隠れて密輸なんてせずに正々堂々持ち込むってわけか。ここまで平然と言ってのけられたらこちらは黙るしかねえな。
「密輸なんてセコイ真似はしないってわけか」
「まあな。それより、馬車が来たようだぞ」
オリヴィエの指さす方向を見ると、黒塗りのボディをした馬車が停まるのが見えた。あれが俺達の乗る馬車なのだろう。
「あれに乗れば良いわけだな?」
「ああ。だが、その前に荷物の確認をしてもらう。万に一つ忘れ物があったら、大会にまで悪影響を及ぼすかもしれんからな」
「わかった。紛失してたら大変だからな」
俺達は馬車のところまで移動すると、載せられている荷物の確認をした。間違いなく明日の大会で使うかもしれないとオリヴィエから渡された保管庫の中に入れていた物がすべて揃っている。
「どうだ? 忘れ物は無いか?」
「ああ。俺の方は大丈夫だ。二人はどうだ?」
「私の方も問題は無い。ミーシャはどうだ?」
「忘れ物は無いね。何なら今から始まっても問題無いよ」
「それは頼もしいな」
どうやら忘れ物は無いらしい。これで問題無く馬車に乗り込めるってわけだ。
「積み荷の確認が終わったなら、すぐに馬車に乗るぞ。あまり他人に見られたくないからな」




