一騎打ち可能性は低い
「実際に戦いになる事を想定しなければ対策の意味が無いってのはその通りだが……だからってタイマンになる可能性は低いだろ……? 普通に乱戦になる可能性だってあるハズだ」
と、言うか……タイマンと乱戦なら乱戦に巻き込まれる可能性の方が高いだろう。なにせ参加人数が文字通りの意味で桁違いだからな。タイマンなんてしてたらどれだけの時間がかかるかわかったものではない。
「その可能性は高いな。一対一での決闘なんて方法は、参加人数が限られている状況でしかやりようがない。大会の開催期間が限られている以上、仮に決闘をするにしてもそれは人数が絞られてきてからの話だ」
「別の言い方をすれば、その限られた人数にまで残れた場合に心配すべき事になるな」
「一騎打ちの良いところは、参加人数を半分に減らせるところだ。悪いところは順位の決定が非常にわかりにくいというところだな」
確かに順位はわかりにくいだろうな。それこそ審査官が複数人いる場合、意見がわかれる事だってありえるだろう。
「一番強い魔術師と二番目に強い魔術師が戦って、二番目に強い魔術師が負けた場合、二番目に強い魔術師はその時点で脱落だからな。他のあまり強くない魔術師が普通に上の順位に行ってしまう可能性は普通にあるだろうな」
「勝負は時の運と言ってしまえばそれまでだが、大会としてもそういった事態は避けたいだろうな。だとすると、一騎打ちをやるならとにかく人数を半分にしたい時か、もしくは一騎打ちの結果が直接順位に直結するような事になっても納得してもらえる程に実力が伯仲している場合かだな」
まあ、残り数名にまで絞り込めてしまえば、後は一騎打ちでも問題は無さそうだな。
「人数を半分にしたいってのは……」
「それが丁度良い区切りになる場合だな。人数の上限を考えると……残り百人から半分の五十人に絞り込みたい場合なら一騎打ちでの選別もありえるかもな」
「勝った五十人はその後の競争で変わるだろうが……負けた五十人の順位はどうやって決めるんだその場合? それに、その時点で優勝候補同士が潰し合う可能性だってあるだろ?」
「さあな。とりあえず大きな枠組みの中で納まるわけだから、多少無茶な方法で順位を決めてしまってもそれほど文句は出ないだろう。優勝候補の潰し合いに関しても、極力そういう事が発生しないように調整はするとは思うが……いよいよとなったらクジ引きで決めて本当に運頼みにする場合だってあるだろうな」
まあ、ある意味一番公平な決め方ではあるが……やられる側は堪ったものではないだろうな。一騎打ちで優勝まで決めるっていうのであればともかく、単なる人数の絞り込みが原因で自分より格下の魔術師より順位が落ちる結果になるとか、死んでも死にきれないだろうな。




