火霊祭にも出る
「まあ、結果は実力でも順位でも私の方が上回っていたがな。……ああ、そういえば、今年の火霊祭の方にも出場するようだぞ。あの男」
「なに……? そうなのか?」
「本選出場者で厄介な敵になりうる選手は全員チェックされていたからな。以前部長から見せてもらった資料の中にあの男のデータが載っていた」
「クラウディア先輩が……? まあ、あの人ならそれくらいのものは用意させていてもおかしくは無いな」
目立った選手にはデータを集めさせていても不思議はない人だからな。
「で、その男の情報を集めるために、実際に戦った経験のある私に聞いてきたというわけだ」
「まあ、その方が実力の方もかなり正確に把握出来るだろうしな」
「だから部長には私の口からハッキリと言ってやったよ。部長の実力なら何ら問題はありませんとな」
「それは大きく出たな? 先輩が聞きたかったのは、一対一の戦いでどうかという話では無く、あの大会にどこまでマッチしているかという情報の方だと思うがな」
火霊祭……複数の属性の魔法を幅広く扱える奴が有利な大会との事だ。そういう意味では、あの男は基本属性である四つの属性を上手く扱えるなんて特異体質染みた能力を持っているなら、要注意人物の一人に数えられると言うのも頷けるというものだ。
「マッチか……まあ、様々な技能や対応力を求められる事を考えると、四つの属性を持つあの男にとってはかなり有利に働くだろうな」
「そういう意見を踏まえたうえでどれくらい厄介な相手になりうるのかを聞こうとしていたんじゃないのか?」
何せ勝ち残れるのは強さだけではないだろうからな。同時に当然、頭脳の方も考慮した上での警戒をしなければいけなかったハズだ。
「そういう意図で私に尋ねてきたのだろうな。しかし、私がどう答えようにも、実際に戦いにでも発展しない限りは警戒の意味がなしていないように思うのだが」
まあ、そればっかりは時の運って奴を恨むしかないな。




