一番割りを食ったのは……
「今度の大会で優勝した奴が後継者に相応しいって……まあ、言ってる事は正しいとは思うが、勝手な事を言ってくれる住民達だな」
「そういう風になるまで煽ったのは彼らの方だからな。なるべくしてなった状況と言うやつだろう」
「優勝経験者の人だって、更なる優勝を求められる形になっちまったんだから、良い迷惑だろう?」
最初の当事者三名は自業自得って印象が強いが、その後の真っ当に後継者を名乗れるであろう人が割りを食う形になってしまっているぞ。
「……まあ、そこに関してはそもそも大会に出場している時点で優勝を求められてしまうのは当然の成り行きというものだろう。実際に、火霊祭の優勝者の大半は過去に火霊祭で優勝した経験のある魔術師ばかりで、初優勝を獲得出来る魔術師なんて滅多に現れないからな」
基本的に優勝はほんの一握りの上澄みレベルの連中が独占している状態ってわけか。まあ、それもそうか。仮に複数回優勝した経験のある魔術師が三人もいれば、少なくとも三回は『初優勝』をした魔術師がいなかった事になるわけだからな。魔術師のピークが何歳から何歳までなのかはしらないが……もし仮に十年間の間に複数回に渡って優勝を経験をした魔術師が三人いたとしたら、その時点で過去十年間の間の六年は特定の三人で独占している状態になるわけだ。勿論、その三人にも初優勝したというタイミングは存在するわけだが……普通に考えたら二年に一回以上は過去に優勝した経験のある魔術師が優勝している事になりそうだな。
「優勝者の顔ぶれはいつもワンパターンになりがちってわけか。まあ、魔術師のピークが何年続くかもわからないのに、毎年開いているわけだからな。これが四年に一回とかだったら複数回に渡って優勝を経験する魔術師は一気に数を減らすと思うんだが……」
「四年に一回なら確かに世代交代は早いだろうな。一度でも優勝のチャンスを逃しでもしたら、次の機会は四年後なんだろう? そんなペースではモチベーションを保つなんて事はかないそうにないな」
毎年やってたのを四年に一回にまで頻度を減らしたら単純計算で試行回数は四分の一にまで減るわけだしな。四年後の次のチャンスに期待するくらいなら、大会への挑戦はさっさと諦めてもっと別の事をしようって考える奴が出てきても何もおかしくはないだろうな。




