教会の奔走
「なるほどね……勇者様一行の活躍のおかげで人類全体に反撃の機運が高まって、魔物退治がより活発になったわけか。しかし、人類の方も相当な被害を出しているハズなのによく戦う事が出来たな?」
「流石に魔王軍の討伐隊を結成出来たのは元から魔物を撃退出来ていた国に限られている。そこに勇者様御一行が駆けつけて戦ったとされているな」
「良くそんな都合良く駆け付ける事が出来たな? 偶然にしちゃ出来すぎじゃないか?」
「勿論、これらは偶然じゃない。勇者様御一行は世界中を旅したとされているが、それでも本拠地として何度も立ち寄っている場所は存在するからな。それこそが教皇のいる教会なのだが……そこで様々な情報や噂話を聞きつけて次の目的地を決定していたとされている。後は報告とかだな」
なるほどな……確かに世界中の情報が集まる場所と言ったら最も栄えている都市というのが相場だ。魔王軍によって被害を出している状況でならその被害が最も少ない国と言って良いだろう。
「教会か……確かに各国の被害状況を一番正確に把握しているであろう組織ではありそうだな。それにどこにどれだけの魔物の大軍が潜んでいるかの情報収集を欠かさずに行える組織力を保有しているのも、そこくらいしか無さそうだ」
「まさにその通りで、如何に伝説の勇者様御一行と言えども、どこに助けを求めている人々がいるかの情報は彼らだけでは手に入れようが無いからな……そこで勇者様御一行が旅に出ている間に教会では世界中の情報を集めるべく神父様達が奔走して勇者様達の帰還を待っていたようだ」
とにかく情報を集めて勇者様一行にその情報を渡していたのか……確かにそれなら無駄が無いな。
「それならどこの国が孤立無援になった魔王軍に向けて討伐隊を差し向けるかの情報は最優先で集めるだろうな」
「ああ。そしてその情報を勇者様御一行に渡して……勇者様御一行が出発する前にその旨の情報を持った使いを国に送って討伐隊の出征を待ってもらったりと調整を行っていたようだな」
なるほどな、幾ら魔王軍が潜んでいる場所へ行く事が決まったとしても、勇者様一行がそこに辿り着く頃にはすでに戦闘中ですじゃ、戦略的に無駄が多過ぎる。援護を送る国に対してその旨の情報を送る事はかなり重要と言えるな。討伐隊の方も勇者様一行の戦力の追加を前提に作戦を立てられるわけだしな。




