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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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一つの出来事に複数の伝承

「後世の創作も混じってるって事か……」

「あまり大きな声では言えないがな。しかし、そうでもないと説明が付かない程には様々な土地に伝承が残っている。まあ、この現象にもある程度の説明はなされているがな」

「本当に世界中を練り歩いていた可能性もあるのか?」


 ありえないとは断言出来ないが……魔王討伐のために出発した日時と魔王を倒して帰還した日時は記録されているだろうし、その期間と勇者様一行の人が残した手記を調べてみれば旅路の行程は把握出来るハズ……世界中をどれくらい歩いたのかはそれなりに信ぴょう性のある結果が出せると思うがな。


「そこは何とも言えんが……例えば、山の中に凶暴な魔物が棲みついたとするだろう? それを勇者様御一行が倒したとする。その場合、どんな伝承が生まれる?」

「どんな伝承って……勇者様一行が山に棲みついた魔物を倒したって伝承だろ?」


 多少の尾ひれは付くだろうが、流石にそこは変わる要素が無いハズだ。


「ああ。その通りだ。なら、その伝承はどの村で生まれる?」

「……周辺の村だな」

「その村が二つあった場合、伝承が二つ生まれるわけだ」

「なるほどな。山に棲みついた魔物に困っているのは一つの村の話なわけがない……当然、複数の村で伝承が生まれる事になる。……しかしだぞ? それならそういう逸話で統合されるんじゃないのか?」


 流石に村を訪れる度に何度も何度も山に魔物が棲みつきましたって話にはならないだろ。


「いや、それが、どこの村でも勇者様御一行が来訪して魔物を倒してくれたという伝承になってしまっている」


 ……そっちのパターンか。勇者様一行は『自分の村』を助けてくれたって言い合う事になるなそれは。


「……まあ、当然っちゃ当然の話か。それら全部が正しいとすると、一度周辺の村を一周して困り事を聞いて、その後で魔物を倒した事になるな」

「……で、全部の村で感謝されて去って行った事になるわけだ。これはあまりにもおかしな話になってしまうわけだ」


 まあ、わざわざ一周してから魔物を倒すってのも少し変な話だ。一つの証言だけにとらわれずに周辺調査もキッチリやって裏取りをするってのも重要ってのは確かにそうなんだが……その間に被害が増えるって事を考えたらさっさと現地へ行って調べた方が速いハズだ。


「結局、どこかの村が話を盛ってる事にならないかそれは?」

「だから大きな声では言えないわけだ。今となっては調べようが無いからな」


 そういう場合は勇者様一行の残した手記を調べるのが一番手っ取り早いんだが……未だに結論が出てないなら特に記載してなかったのだろうな。

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