破壊後の影響
「なるほどな……要塞の中を探索してはめぼしい物を回収しまくっていれば、魔道具の類だっていつかは偶然発見されてもおかしくは無いな。それに尾ひれが付いた感じか」
「そんなところだろうな」
「今はもう跡形も残って無いって話だったが、いつ頃から取り尽くされたんだ?」
「百年後にはもう残骸だけで殆ど何も残って無い状態になっていたようだな。しかも、強力な魔物が多数陣取っていた影響か、それとも魔界の瘴気でも漏れ出たからか、土壌や気候にも変化が出ていて、酸性雨だとかで一気に風化していったらしい」
土地そのものにも悪影響が出たのか……まあ、ありがちと言えばありがちな話だな。
「今も『廃墟』って言うのは、もう人が住めないような状態になっているという事か」
「そういう事だな。幸い、魔物の類が根城にしているだとかいう話も聞かないし、完全に放置状態になっている」
放置か……魔界を開拓出来るなら何とかなるような気もするが……まあ、そこに資金をぶち込むメリットが無ければ放置されるだけか。特に資源が埋まっているというわけでもないのだろう。
「どれだけ魔界門が開かれていたのかは知らないが……数百年経ってもまだ汚染が残っているとは……とんでもない話だな」
「それは魔界から漏れ出た瘴気と言うより、魔界門を破壊した際に発生した瘴気の方に問題があるな。言うまでも無い事だが、魔界門を発生させる装置というのは魔道具として見ても超が付く程の一級品だ。それだけ膨大な魔力が込められている」
「それを破壊してしまった事で、込められていた魔力が一気に流出してしまったというわけか」
俺がダンジョンで発見した転送装置は破壊してもそこまで変な事にはならなかったが……あれは長期間稼働したまま放置されていたような物だろうし、参考にはならんか。
「そこは仕方のない部分だな。制御して魔界物を閉じるのがベストだったのだろうが、当時の人類ではとてもではないがそのような知識は持ち合わせていなかった時代だ。おかげで魔界門の研究も相当遅れたようだぞ」
「後から後から魔物が出てきたり瘴気が溢れ出てくるのを黙って見ているくらいならいっそ破壊した方がマシと考えたのだろうな……実際、魔界門の発生装置を持ち帰って研究するなんて、そんな事をしている余裕は無かったんだろう?」
魔物から破壊の限りを受けたって話だからな……魔界門を研究しようにも、その研究施設だって破壊されていた事だろう。




