物資の運び方
「それはそうだろうな。好き勝手な場所を開拓出来る程、魔界を制圧しているわけではないからな」
やはり、そういう話になってくるか。
「他の拠点と離れていると、魔物に目を付けられた時点で孤立する事になるからな。それに自分達以外に人の住んでる拠点があるなら、そこと交流しない手は無い。その時に魔物から隠れながら物資のやり取りを行うには近すぎず遠すぎずが良いだろうからな」
まあ、オリヴィエの口ぶりからして、開拓地はゴーレム中心の資源採掘場になるだろうから他の開拓地との交流なんて殆ど行われないとは思うが……それでも、人間が住んでれば多少は発生するだろう。
「確かに近い場所に新しい開拓地が出来るのは良い事だな。精神的にも励みになるだろうし、それに協力もしやすくなる」
「この手の開拓で一番大変なのは最初の一つ目だからな。これをクリアしてしまえば、二つ目以降の開拓地はかなりやりやすくなるだろうな」
「そうやって数を増やしてくれん事には船での輸送に踏み切れないからな。今のところは飛空艇で往復しているが……運んでいるのはあくまでも資源ではなくて魔界の調査資料や開拓地への支援物資だからな。これが発掘した資源になると話が変わって来るわけだ」
まあ、資源なんてどれだけ効率良く運べるかがなんぼの世界だからな。今は調査が優先されているが……それらの調査が完了するまでには手を打っておく必要があるわけだ。
「しかし、船で運ぶって言うが、まともな量じゃないだろ? それに発掘してからどうやって海まで運ぶかって問題もあるぞ」
「そこも難問だな。鉄道を整備するという案も出ているには出ているが……」
「魔界に鉄道を……? そりゃあ、陸路で資源を運ぶなら鉄道一択なところはあるが……どうやって鉄道を敷くかと言うより、どうやって設置した鉄道を魔物から守るかって事の方が気になるな」
「そこが最大のネックだな。作るときもそうだが、作った後も魔物に襲われると考えると防衛施設の設置は必須なのだが……あまりにも守るべき範囲が広すぎるという問題点が指摘されている」
まあ、鉄道なんてレール一本でもへし折れていたら走行不可能に陥る繊細な乗り物だからな。鉄道車両本体のメンテナンスは拠点で出来るからどうとでもなるが……レールの維持管理に関するコストやリスクは通常の比では無いな。魔界の気候もそうだが、魔物があまりにも厄介過ぎる。




