魔界の各勢力
「ああ。魔界の魔物達の勢力は見る影もない程に落ち込んでいる。我々人類が開拓に挑める程度にはな」
「確かに人類が足を踏み入れて曲がりなりにも生活出来るって事を考えると、伝説の勇者様一行がいた時代じゃ考えられない事だな」
魔王が封印された後で次の魔王を決める勢力争いが勃発したのは想像に難くない。問題があるとすれば、その勢力争いは魔王が倒された後……つまり、各勢力が不安定な時に行われた事になる。まとまる道理が無いな。
「それだけ魔界内部で発生した勢力争いが激しいという事だろう。実際に魔界の開拓の際に魔物同士で争っているという目撃情報も出ているしな。当初は単なる弱肉強食の話か、縄張り争いくらいのものとしてあまり注目していなかったが……争っている魔物達が徒党を組んでいるというか……派閥のようなものを作っているのがわかってな。詳しく調べていくうちに魔王を狙える有力候補達が争っているのが判明した」
「その隙間を縫うように人類も進出していたってわけか」
まあ、地上で拠点を作ってる連中が持っている戦力なんて本当に必要最小限程度だろうからな。少しでも開拓に必要な資材を多く持っていたいだろうから武器は二の次だろう。
「まあ、言い方は悪いがそういう事だな。当然、この動向は人類にとって要注目の出来事だ。どういう派閥が存在して争っているかを知るのは人類の今後のために必要不可欠な情報だからな」
「開拓拠点の近くにでもいた現地の魔物を捕まえて情報でも聞き出したのか」
「それほど外れていないな。確かに魔物からの証言が多い良くわかったな?」
「……他に聞ける奴なんていないだろうからな」
オリヴィエの口ぶり的に捕獲するまでの事はしてないのか? まあ、せっかく捕まえてもその魔物を閉じ込めておく牢屋がないって事か。そんなものより優先して作らなきゃいけない施設なんて山ほどあるだろうからな。……それに、魔物の中にも意思疎通が可能な奴もいるし、情報を聞き出す事そのものは可能だろうな。
「……まあ、魔界の事を教えてくれる者なんて、そこに住んでる魔物くらいしかいないのはその通りだな。とにかく、今現在魔界では次の魔王を目指すべく複数の有力な魔物がそれぞれの勢力を作り上げて潰し合っているとの事だ」
その隙に人類が拠点を作って守りを固める事が出来れば魔物達から狙われる心配も減っていくわけだ。そしてそこから各勢力の情報を聞き出すことが出来れば、人類としては対策を立てやすいだろうな。




