世間一般の感覚
「……要するに、俺達とスコロでは期待されてるハードルの高さが違うって事か」
「そういう事だな。私達の場合だと要求されるハードルがどうしても高くなる。その点、あの男ならそこまで過度な期待は持たれずに済む公算が大きい」
確かに……いくら上の順位にいると言ってももっと上の順位にいる生徒だっているし、他の学年の生徒まで含めて考えたらそのレベルの魔術師は数十人近くにまで人数が増える。そのレベルにいる魔術師が火霊祭で何位を取れると期待されるかと言うと……百位以内は期待のし過ぎって事になるな。
「初出場でいきなり百位以内は期待し過ぎって話になるなら、その次の基準は五百位以内……初日の午前中さえ乗り切れれば最低限度のハードルは超えた事になるわけだな?」
「出来れば……と、言うか、実際にはもっと具体的な順位で評価される事になるが……世間一般にはその成績だけで十分だろうな」
学園としては仮に百位以内に入れないとしても、どれだけその順位に近いかを重要視するわけか。……まあ、当然だな。来年再来年の事を考えたら百位以内に入れるか入れないかの見込みの違いはかなり重大な問題になる。
「学園としてはどんな結果に終わったかをちゃんと評価するが、世間の人々は五百位以内に入ったか百位以内に入ったかという大台が重要視されるから、ある意味で悪評が立つ心配は薄いというわけか」
「学園側がわざわざ悪い評判を公表するハズがないからな。それに何より学生が火霊祭で五百位以内に入れたという結果はわかりやすく評価しやすい。これは百位以内に入った場合の評価の高さにある意味救われているな」
「百位以内に入れないという評価なら、二百位でも三百位でもそこまで印象は変わらないって事か」
これはある意味で百位以内に入れる見込みの無い奴からしてみたらありがたい話だな。……その分、百位以内に入れるか入れないかのギリギリのラインにいるような奴からしたらノイローゼにかかるレベルでストレスの原因になるのだろうが。
「ああ。五百位以内にさえ入ってくれれば、世間からの評価としては風霊祭で優秀な結果を出して、火霊祭でも最初の関門を突破した生徒として映るから学園としては申し分ないだろう。……勿論、それはあくまでも世間一般からの評価であって、就職だとかの特殊なシチュエーションにおいては……並大抵の就職先じゃそんな部分を評価基準にはしないが……競争の激しいところでは正確な順位が聞かれたりするがな。そして就職ならそれこそ来年再来年の火霊祭で結果をだしても十分間に合うわけだ」
並大抵の就職先は正確な順位は気にしない……か。まあ、仮にそこを気にしたとして、じゃあそれより上の順位を取った人が求人に来てくれるかって話だからな。よほど競争率の高いところ以外は気にする必要のない部分だな。




