注目を集める方法
「注目されるのは終盤だけ……か。まあ、だからこそ俺達が審査官としてオファーがかかったみたいなところはあるだろうからな」
「それはあるだろうな。火霊祭の参加者の中には当然、風霊祭の出場経験者もいる。そういった選手にとって、私達風霊祭の優勝者はかなり特別な戦力のように見えるだろうからな。ならば当然、世間も注目するだろう」
「うーん……でも、それだとその事が伏せられてるのっておかしくない? むしろ宣伝しちゃった方が注目を集められると思うんだけど」
俺とオリヴィエが話しているところに、ミーシャが疑問を呈してきた。確かにミーシャの言う通り、さっさと宣伝してしまった方が効果は大きいだろう。それをせずに厳重に情報を秘匿しているって事は、それをするとメリットよりデメリットの方が大きいと判断したという事だろうか?
「確かにこんな情報はさっさと公表した方が世間は注目するだろうな。それをしなかったって事は、俺達の参加を公表すると何かしら不都合な事が発生するのだろうな。パッと思いつく事は、俺達の参加が発覚した事で審査の内容が戦闘に関するものだと推測されてしまう事態を恐れた……とかか?」
「一理あるな。風霊祭の優勝者を二人とも審査官として参加させておいて、その審査内容が戦闘能力を問われないような内容だったら確実に不満が出るのは目に見えているからな。それなら私達を呼び出さない方が良いまである」
まあ、戦闘を専門に活躍している魔術師を確保していおいてやらせる事が学力テストとかじゃ何故参加させたんだ? って話になるからな。俺達の存在そのものがネタバレになりかねないわけだ。
「それに、審査官として特別な資格を持っているわけでもないしな。単純な戦闘能力のみをあてにしてオファーがかけられていると考えれば、審査内容はそこまで複雑なルールを採用していないと推測する事まで可能になる」
こればかりは運営が確保出来る人材に限りがあるからな。
「宣伝しない方が良いって事?」
「そもそも宣伝をしようとしまいと、チケットは売り切れるだろうからな。事前に告知する旨味はそこまででもないと思うぞ」
「なるほどね」
「それに、私達が出るタイミングも問題だ。規約の関係上、私達はこの国の選手を審査出来ないわけだからな。逆に言えば、この国の選手は私達と戦わずに済むという事が大会の開始前から周知されてしまうに等しいわけだ。これも避けたかったんじゃないか?」
確かに……しょせんは学生レベルと片付けられるのであればそこまででもないが、普段なら百位以内に安定して入れるであろう選手よりも強いと世間一般でみなされてしまえば、俺達と戦う危険性がある選手と存在しない選手とでは結構な差があると思われても仕方ない部分はあるからな……それが大会が始まる前に発覚するのは……ちょっと不公平な気もするか。




