攻略法とその攻略法
「いや、凡ミスは一切していいない。それどころか冴えわたる解決法を編み出したぞ。……各々の問題には当然、制限時間というのがあるのだが……その制限時間ギリギリで答えを変更しただけだ」
「……ああ、そういう事か」
確かにその方法なら自分に依存してくる選手のほぼ全員を落とせるな。……つーか、本当にバラエティ番組みたいな展開だな。
「その方法で一気に千人近い選手が脱落したらしいな。ある意味ではその年の大会で一番有名なシーンだったと言われているぞ」
「だろうな。……今、千人って言ったか? 千人っていくら何でも多すぎないか?」
「それは仕方あるまい。その男……まあ、その年の優勝者なんだが……その男が迷わず答えを選んだせいで大多数の選手が誘導されてしまったんだからな」
優勝者だったのかよ……って事は当時からしてみても優勝候補の一人か。そんな奴が自信満々に答えを選んだらそっちへ誘導される選手が多いのも頷けるな。
「単に攻略法として乗っかった奴だけじゃなくて、答えに自信が無い選手も軒並み巻き込まれた形か」
「ああ。その時点で定員割れを起こして敗者復活戦が行われたわけだ。その時は不正解者ではなく正解者が会場を立ち去った事になるな」
「つまりそれ以降は参考に出来る選手はいないって状態で続行されたわけか。相当滑稽に映っただろうな」
二択を間違えた奴しか残っていないって考えたら、誰も信用出来ないわけだからな。
「ああ。そこからは回答が偏らなくなって堰を切ったように脱落者が増えていった。最後の最後でまた定員割れを起こして残り数名の中で敗者復活戦がやり直されたぞ」
「酷い大会だな……そりゃあ記憶にも残るな」
「ここ最近の中では一番グダグダになった大会だね。上位陣がいなくなった後は運任せで回答した選手が多かっただろうね」
「そうなるしかないだろうな。強いて言いうなら、残った選手達の中で一番頭の良い奴に答えを被せるって事になるんだろうが……残った連中の中からその手の該当者を探し出すのはかなり難しいよな? かなり高いレベルで他の選手の情報を把握しておく必要があるし」
ある程度より頭の良い選手は途中で勝ち抜けしていなくなったわけだからな。残った中で比較的頭の良い選手を探し出すのはかなり大変だろう。
「難しい……と言うより、それ以前の問題として突然の出来事に対して呆気に取られて冷静な判断が出来た選手は少なかったと思うぞ? 当時の参加者はかなり動揺していたからな」
……まあ、安牌切ってたと思ったら突然サドンデスの勝負に変わったようなものだからな……冷静に対処出来る奴の方が少ないだろう。




