グループ分けは最大でも十個
「ふむ、大会の性質上、順位決めは至上課題だ。これがなされなければ何の為に参加したのかわからなくなる。そしてその順位を正確に出すには客観的な指標が必要になる。例えば時間だな。……しかし、時間と言ってもどう測れば良いものか……より長時間生き残るのを目的としたサバイバル戦をしようにも、選手が消極策を使うのは必然。そこで制限時間を設けて足切りをしようものなら軒並み一斉リタイアで同点選手が続出……これでは本末転倒だな?」
オリヴィエが自分達の参加する競技の問題点を指摘する。
「難しい問題だな。一見すると、じゃあどれだけ早く審査を突破出来るかで秒数を競えば良いという話になりそうだが……今回問題視しているのは、百位以上の好成績者ではなく百位未満の脱落者の順位をどう決定するかって部分だからな。何時間でも使って良いならどうとでもなるが……」
「スケジュールによると、午前中に五百人までの絞り込みを終えて、午後から更に百人にまで絞り込む事になるね。開始は一時から六時までの五時間……あくまでも予定だから多少前後するって書かれてるけど……」
ミーシャがすでに公開されてある大会のスケジュールを呟く。
「……一応、数時間と言う時間は用意されているな?」
「そりゃあ、まあ、あるにはあるが……五百人分審査するんだよな? 一人当たりの時間配分ってどんなものになるんだ?」
「一時間に百人審査するってペースになるか、五時間全部使って五百人を審査するかって話になるね」
「前者だったら結局、大した時間は用意されてないって事になるし、後者だったとしたらアレだぞ? 通過者はとっくの昔に審査を終えて、最後の方は脱落が確定した選手達の順位を決める戦いを見せられる事になるぞ? ……どうなんだ? それって……」
「どうも何も、退屈以外の何物でもないな。最初の一時間を観戦した時点で大半の観客は離席するんじゃないのか?」
……まあ、それが現実的な話になるだろうな。興業の観点から言えば論外って結論に落ち着く。
「つまり、一人一人に何時間もの時間が用意されてあるわけが無いって事だな。まさか選手全員に五時間ぶっ通しで何かやらせるってわけにもいかないだろ? むしろ明日の方が本番だってのに」
「初日から徹底的に選手を追い詰めるって発想や展開は無しではない……どころかむしろ盛り上げると思うが……だからと言って何時間も同じことをやらせたら観客は飽きるだろうな」
「それに、残り百人を切ったところで通過は確定するからそこから一気に抜けて行って、最後はグダグダになると思うよ」
確かに……残り時間が一時間以上残っていたとしても、選手の合計が百人を切っていたらそれ以上頑張る必要なんて無いわけだからな。
「やはり、選手達を何人かのグループに分けさせてから審査を行うというのが普通の考えだな。そのグループの数によって選手一人当たりの時間が割り出されるわけだ」
「数分で終わるような競技を何時間も延々と繰り返されたら観客からしたら堪ったものではないぞ? 十個のグループに分けてそれぞれが時間差で競技するにしても三十分で終わらせる必要がある。三十個に分けたら十分で次のグループの審査開始だ」
……あまり多く分けるって事にはならなそうだな……十分じゃ誰が何やってるかわからないまま次のグループの審査へ移行になりかねない。そう考えると、グループ分けは最大でも十個が限界だろうな。




