類は友を呼ぶ
「ふーん……それじゃあ、大きい勢力が幾つかあって、その下にたくさんの小さなグループがあって動いてるんだ」
「そんなところだな。そういうのに属さずに独自にグループを作ってるところもあるのはあるだろうが……いつまでもそんな事を続けていられるほど広い世界でも無いだろう」
仮に俺がこれからそういうワルの世界で生きる事になったとして、まず真っ先に同じ学園に通う不良達に目を付けられる事になるだろうからな。そいつらを蹴散らしても次は他校の不良を相手する事になるだろう。それらを一通り撃破し、晴れて自由気ままな行動を取ろうにも、まさか図書館で読書ってわけにもいかないだろうからな。……と、言うかそんなの不良でも何でもないし。……結局、どこか怪しい店に出入りする事になるのだろうが……それがどういう店だろうと、そこの店員が他のどの勢力とも無縁の存在かと聞かれたらそんなハズは無い。その時点で俺はまた別の何らかのグループと接点を作ってしまったりするわけだ。孤高の存在だとか一匹狼だとか、そんなものになれる日は来ないだろうな。
「絶対に他の似たような連中と関わりを持つって事?」
「ああ。例えば学生で考えるなら、そもそも真面目に学校の授業なんか受けないだろ? 抜け出して何かやるって事になるんだろうが、にしても、学校をサボる奴の行きつく場所……と言うか、足しげく通う店なんてのはかなり制限される。当然、似たような発想の連中がそこに溜まるわけだ」
学校での授業……勉強に費やされる時間がそっくりそのまま別の何かに注ぎ込まれる事になるからな。家に引きこもっていれば他の誰かとの接触を拒否する事も出来るが……それはまた別の話になってくる。そのため、若者が時間を潰せる場所や店に足を運ぶ事になるのだが……自身が学校をサボっているという状況を込みで考えると、学生は少ないだろう。もしもそこで若者と出会うとしたら、それは自分と似たような奴って事になる。
「不良が集まるお店なんて、店員も怪しい人になりそうだね」
「ああ。つまりそこで大人の悪い奴との接点が生まれるわけだ。そうでなくても、卒業生だとかとの繋がりもあると考えたら、他と関係を断つなんて事は事実上不可能だな」
その結果として、悪い奴同士が集まる事になるわけだ。つまり類は友を呼ぶってやつだな。




