第三者
「まあ、国が注意喚起を促したところで、善意の第三者を言い張る確信犯的なお店もあるみたいだけど……」
「善意の第三者って……じゃあ、盗品だとわかった上で買い取るような質屋もありそうだな」
不正な手段で入手された商品だと気が付きませんでしたと言い張られたらどうしようもないしな。
「あってもおかしくは無いかな。普通に探したくらいじゃ絶対に見つからないけど」
「俺達にわかるような店を他の人間が見つけ出せないわけがないからな……まあ、それはあくまでも盗品でも扱ってくれるような店であって、こっちが客として買う分には知らず知らずのうちに来店していてもおかしくはないが」
役人の目を盗んで盗品の類を売り捌くなんて真似はそんな気軽に出来るような事じゃないハズだしな。それに非正規な手段で入手した商品を売り捌くなんてリスクが高すぎる。これを商売にするって事は、リスクを最小限に抑えられているか、もしくは儲け額があまりにも多すぎるかだ。他人にバレないように……だろうが、稼ぎが多いとしても、どちらにせよ大量に仕入れて大量に売り捌くルートが存在していなきゃ成り立たない商売だな。
「異様に安いお店ってちょっと不安になるよね。逆手にとって一般的な値段で売るお店もありそうだけど」
「それだと売れ行きが普通の店と同じ程度に落ち着くからな……仕入れが安定しない分、明らかに不利になるぞ?」
「元手がただみたいなものなのに? なんとでもなるでしょ」
「安定しないってのは安定した量が入らないって意味もあるが、需要に合わせて増やしたり減らしたりの調整が出来ないって意味もあるからな。在庫が少ないから多めに発注するって事が出来ないように、在庫に余裕があるから発注を減らすってのも出来ないわけだ。バレたら即アウトな物を扱っておいて……稼ぎも真っ当な店より悪いですじゃ話にならねえだろ。まあ、元手がただみたいなものだって考えればより長い期間、店を続ける事は出来るとは思うがな」
結局のところ、発見されたらヤバい物が手元に残ってるから不味いのであって、第三者の手に渡ってしまえば誤魔化しようは無い事も無いからな。




