ドラゴンが与える変化
「ドラゴンの住処に近寄って良く無事でいられるな。縄張り意識は強いんだろう?」
「上手く身を隠しながら調査をしているみたいだね」
「それで周辺の生態系の変化も調べる事が出来たってわけか。それにしても……数十年単位で生き物の特徴が変化するレベルで環境が変化するとは大した影響力だな。相当強力な淘汰圧が生じたハズだぞ……」
「本来なら生物が住めないような過酷な環境だったりするからね」
確かに、基本的に環境に適応して繁殖に成功する事が進化だからな……進化が促される程に環境が激変するなんてただ事じゃないぞ。……しかし、ドラゴンの住処が一般的に生物の生存出来ないような極限環境なのだとしたら、そしてそんな場所に食料が定期的に投入されるとしたら、ある意味で環境の激変は起こっていると考えて良さそうだな。
「ドラゴンが生息する場合、その近くに生物の死骸の山が積み上げられるわけだから、栄養としてはその土地にどんどん溜まって行く事になるな? その栄養を奪い合うために他の生物がやってきて生存競争を行うとしたら、確かに独自の生態系が構築される事になるだろうな」
「火山みたいに生物がいない場所なら栄養は一か所に集まるかもしれないけど、密林とかに棲むドラゴンだっているのはいるから、栄養が一か所に集まるとは言い切れないかな。他の生物を狩れば狩る程植物の類は増えていくハズだし」
「草食の生き物をドラゴンが狩り尽くすから植物が増えるって理屈か。一理あるが、そうなると草食動物がいなくなって、その後は草食動物を食べる肉食動物もいなくなる事になるんだから完全に狩り尽くすって事はないだろう? 最終的に自分が食べるものが無くなるぞ?」
本当に狩り尽くしたら自分の食べる獲物がいなくなるわけだから住処を放棄して別の場所に移住する事になるハズだ。その間に他の生物が繁殖する事を考えると、ドラゴンからしてみたら獲物が帰って来てくれたって感じだろうからやはりどこかで安定するんじゃないのか?
「まあ、ドラゴンが暴れて不毛の大地になるような事はあっても、植物だけが繁栄するって事は無いだろうね。絶対にそれを狙う生物は集まってくるだろうし」
そこまでいったらもはや植物を食べられるように進化した方のが速そうだな。




