共生の条件
「……ドラゴンの縄張り意識がどのレベルのものかは知らないが、共生なんて出来るのか?」
「ドラゴン同士の共生なんかは伝承くらいでしか聞いた事が無いけど……他の生物となら共生関係を持ってるのもいるね。……基本的にスカベンジャーだけど……」
スカベンジャーって事は……死肉を食う生物か。
「食い残しを食ってるって事か? ドラゴンの方が一方的に利用されているとはな……と、言うか、そのスカベンジャーはドラゴンに襲われたりしないのか?」
「さっきも話したけど、ドラゴンって基本的に極限状態な場所で生息してるから食べ終わった獲物を巣の外に放り投げても腐乱したりして良くないみたいだね。……で、結構頻繁に住処を変えたり、定期的にローテーションで変えたりするんだけど……稀に共生関係が構築される場合があるみたいだよ」
「稀にって……殆どの場合は襲われるって事か?」
共生相手も命懸けだな。
「まあ……縄張り意識強い生物だし……だけど死体を処理して住処周辺の衛生環境を綺麗にしてくれるのを理解すると襲わなくなるよ」
ドラゴンからの理解を得られるまでの被害がとんでもなさそうだな……だが、頂点捕食者からのおこぼれにあずかれるなら、一度共生関係を築けてしまえればその後は安泰とも考えられるし、ありえる関係ではありそうだな。
「共生相手は死肉とは言え定期的に餌が食べられて、死肉が無くなる事でドラゴンは定期的に住処を変える必要が無くなるってわけか」
「そういう事だね。それで同じ場所に定住してくれるからより長い期間その場所で食事が行われて、死骸も同じ場所に勝手に集まるわけだね。因みに共生相手は場所によって変化するけど、基本的には骨髄を食べる生物がその立場に収まる事がわかってるね」
「骨髄か……まあ、当然と言えば当然の話だな。と言うか、流石のドラゴンも獲物を骨までは食べないのか」
「そりゃあ、骨を砕いて中の髄液を食べるって結構な労力だしね。わざわざそっち方面に進化するよりどんどん次の獲物を捕まえた方が効率良かったんでしょ?」
確かにこれはミーシャの言う通りだな。いくらドラゴンなら骨を砕く事は容易だとしても、髄液を食べようとするとどうしても砕いた骨の欠片も一緒に食べる事になるからな。わざわざそれを消化するためだけに強力な胃酸を獲得するには至らないか。




