美の基準
「ドラゴンの美に対する価値観は……人間と似たような傾向は確かに存在するかな。角や尻尾の大きさとか形で決まるみたいだよ」
「……角か。デカい角が生えてるとモテるとかあるのか? ……と言うか、尻尾も美しさに関わるのか?」
角は理解出来るが……尻尾にも美意識があるのか。そこはドラゴン特有の価値観ってやつか。だが、角の方に関しては人間でも集める人は多いようなイメージはあるし、やはり美に対する価値観は似通ってる部分はありそうだな。
「うん。角も尻尾も細くて長いものほど美しいって感じるらしいね。逆に太かったり捻じれていたりすると逞しいとか、強いって思われやすいみたいだね」
そこも人間の価値観に近いな……いや、強さに関しては人間とか関係なくある程度正確に測れなきゃ話にならないからそこは似たような結果になって当然か。
「まあ、強いかどうかに関しては実際に戦うとかの経験則で強さの判断基準が出来上がるだろうから人間と似たような結果になっても不思議は無いな。強そうとかじゃなく実際に強い個体の特徴を捉えているんだろうしな。しかし、細くて長い角だの尻尾だのを持っていたら美しいと感じると言うのは興味深いな?」
「その理由は大きく二つの説が出てるね。一つはさっきまで話してたみたいに生きる上でデメリットになりやすいからだね。クジャクと同じって説」
「……太くて捻じれていた方が武器として使いやすい分生存に有利って事か?」
「それに加えて細くて長いと折れやすいからっていうのもあるね。逆に言えばもしも細くて長い角を生やしたドラゴンがいたら、その個体は角が折れるかもしれない危険に陥った事が少ないって予想できるからね」
なるほどな……角を綺麗な状態で維持できるって事は、それだけ危機回避能力が高いか、もしくは危機に陥った事が少ないくらいに強い個体である可能性が高いわけだ。確かにそれなら美の基準になってもおかしくは無いな。




