どこで時間を潰すか
「お待たせ」
「来たか。まだ時間はあるが……どこで時間を潰す?」
自身の準備を整え、校門の前で待っていると程なくしてミーシャが現れた。集合する場所と時間はオリヴィエから聞いているが……まだ余裕がある。あまり早く行き過ぎても店側に迷惑だろうし、どこかで時間を潰すべきだろう。
「じゃあ、どこかで買い物でもする?」
「まあ、そういう話になるんだが……そこまで時間に余裕があるって程でもないんだよな……何か買いたいものでもあるのか?」
買い物にどれだけの時間がかかるかはその時次第ではあるが……商品を見て選んでるような時間は無い。初めから買うものが決まっている状態なら余裕なのだが……今このタイミングでそんなものがあるハズもないか。
「商品を眺めるだけでも良いんじゃないの?」
ミーシャの提案ももっともだな。と、言うかここからの予定を考えれば買い物をして荷物を増やす余裕は無いな。
「別に良いが……どこか行きたい店でもあるのか?」
先ほどからミーシャには俺をどこかに誘導したいような雰囲気を感じる。
「うん。あっちに魔法生物素材店があるの」
「魔法……? ……ドラゴンの鱗でも売ってるのか?」
一瞬、聞きなれない名前の店を出されて戸惑ったが恐らく何らかの生物由来の素材が売っているのだろう。以前オリヴィエがそういう物には錬金術等で利用方法があるから需要があるような話をしていたしな。
「そんな感じだね。ドラゴン由来の素材が並ぶ事は稀だけど」
「そういう素材が錬金術に用いられるって話は聞いた事はあるが……行った事は無いな」
「そういう商品も置いてあるね。授業で出るのはまだまだ先になると思うけど、一度行ってみる? 一応、素材だけじゃなくて加工済みの製品とかも売ってたりするよ」
「あっちの方角にあるんだったか? オリヴィエ指定の待ち合わせ場所と合ってるし、行ってみるか」
とりあえずの時間つぶしの場所が決まると、俺はミーシャの案内に従いその素材店へと向かった。もしかしたら、最後の最後で有用なアイテムを入手出来る最後のチャンスかもしれないしな。




