今夜出発
「無理なものは無理って事でさっさと諦めていただけませんかね?」
仮にミーシャが審査官に選ばれてなかったとしても見込みが無いようにしか思えないので、風紀委員長に諦めるように促した。ましてや審査官として今夜出発するのだからどう考えても生徒会からの提案に乗る事は出来ない。ならさっさと諦めて貰う方向に舵を切った方が良い。
「お前ら本当にやる気が無いな……」
「実際、行きたくないって言ってる子を無理矢理連れていっても良い事は何もありませんよ」
「まあ、しょうがないわね。今年はもう諦めなさい」
「いや……来年は卒業してますよね?」
何で来年誘える前提で話をまとめようとしているんだこの会長は?
「とにかく、説得は失敗で終わりで良いですね? 明日出発のための最終チェックとかで時間も必要なんですから、さっさと戻って生徒会の仕事を終わらせましょうよ」
ナタクとしては生徒会の仕事を終えていない事が気がかりだったようだ。
「こうなったらそれしかないわね。オリヴィエちゃんの宿泊先がわかったら報告して頂戴ね。明日のお昼ごろまでこの学園にはいるから」
「あ、俺今夜には出発するんで明日は報告出来ないですね」
「えっ、今夜出発だったの?」
「確かに明日だと混雑が予想されますからね……今夜出発するというのはありですね。一泊多く泊まる事になるので出費はかさみますが」
どうやら今夜中に移動するという人も結構多いらしい。
「カルラちゃんは知ってた? 今夜出発するって」
「え? ああ、はい。以前から聞いてはいましたね」
「そういうのはもっと早く言って欲しかったわね。それならもっと早い段階で情報を仕入れるように催促できたのに」
「す、すみません……」
俺が今夜出発する事を知っていたのか質問されると、カルラは素直に答えた。……まあ、俺が会場に行く事そのものはすでに知られているからな。ここは別に隠す必要もないだろう。向こうも二日前に行く理由を理解しているみたいだしな。




