断られるを通り越して
「な、なんとかなるって……随分と楽観的だね」
「まあ、先輩達が座ってる席にまで移動出来れば良いだけの話ですからね。そこからは何とかなりますって」
「君にその確信があるなら特に言う事は無いけど……と、なると……残った話は彼女の説得って事になるんだけど……観戦に興味持ってくれたかい? 今なら最高級のランチも奢るよ?」
「興味無いです」
ナタクは今度は食べ物で釣る事を画策するが、これも空振りに終わった。
「会長。時には諦めると言う判断も大切だと思うのですが、どうお考えですか?」
「うーん……私は良いんだけど、こっちが何て言うか……」
「いや、もうちょっと説得のしようはあるだろう……? 大会を間近で見る楽しさとか、そういうのが」
「そうは言っても自分もあんまり詳しいわけではありませんからね」
大会の魅力を伝えようにも、ナタク自身がそこまで大会に詳しいというわけでもないせいで、いまいち説得に鋭さが感じられない。
「そこで諦めるな……! 明日には出発しないといけないんだぞ!? つまり今日中に説得できないと時間切れになるという事だ」
「その今日中に説得するってのが無理あるって話だと思うんですよね。そもそも今日中って言いますけど、同好会の活動が終わって寮に帰られますとこっちじゃもうお手上げですからね」
幾ら何でも女子寮までついていくわけにもいかないし、同好会や部活動の活動時間が過ぎたらその時点でタイムアップだな。そういう意味では残された時間は限りなく短いと言うわけだ。
「寮に帰った後だと……ミーシャちゃんの部屋まで行く必要があるな……」
「それやったら断られる通り越して嫌われるまで行くと思うんですがね……」
この風紀委員長……意外と心臓に悪い事を言ってくるな。そんな事をされたら不在なのがバレかねない。ナタクが良い感じに反論してくれたが。




