二つ返事で了承した奴ら
「どうしましょう……?」
「どうしましょうも何も、とりあえず行くしかないだろ。生徒会室に」
まさか大会直前になってこんな問題が発生するとはな。断るしかないんだが……こっちの事情を教えるわけにはいかないってのが面倒な話だ。
「で、ですよね……」
「大会は明後日なんだぞ? って事は移動は今日か明日って事になるよな? いくら何でも急過ぎるだろう」
そうだ。いくら何でも急過ぎる。これじゃあ俺じゃなくても対応出来るわけがない。……他の連中も急な申し出だから対応出来ないって反応なら俺もそれに便乗出来るが……このパターンに一縷の望みをかけるしかないな。
「あ、移動は明日のお昼だそうです」
「まあ、それが妥当だろうな」
俺達審査官組が二日前に現地入りする理由は大会前日にミーティングがあって……そのミーティングに各国からやって来る審査官全員が集まる必要があるからだからな。ホテルに到着した後チェックインを済ませたら翌日のためにそのまま寝て良い一般客とは条件が色々と異なる。
「それでは、お兄様が会長達に直接断るという事に……」
「でなければあの人達は納得しないだろうな。……実際のところ、急に明日海外旅行に行くと言われて対応出来る奴なんているのか? 外資系のビジネスマンじゃねえんだぞ?」
「それが……ゲイルさん達にもお昼休みには話が伝わってまして……乗り気だったそうです……」
「あいつらマジかよ……」
どんだけフットワーク軽いんだあいつら……?
「あ、ですが急な事で行けないと断った人もいたみたいですよ?」
「そりゃそうだろうな。……いるなら俺もそいつに便乗するだけだ」
「それが風紀委員長が私達全員で説得すればミーシャさんも心変わりしてくれるハズだと言い始めまして」
「ミーシャ……? あいつ……以外にはいないのか? 断った奴って」
「えーと……お兄様とオリヴィエさん以外はすでに全員から了承を得ているそうですよ? 三人も行かない人がいれば何とかなるのでは……?」
……最悪だよまったく。何で審査官の仕事がある奴以外全員二つ返事で明日海外旅行しに行く事を受け入れてんだ? それはそうと……こうなって来るとミーシャも俺達と同じように審査官に選ばれている事をカルラに伝えていないのがかなり痛いな。……伝えたところで大して変わらんか。
「いや、オリヴィエの場合は家族と一緒に観戦するってスタンスだからな。あいつら的には一緒に行けないってニュアンスにしかならん」




