召喚獣の末路
「……どうやらこれ以上の戦いは不可能のようだな」
フィールド上で暴れていた召喚獣たちが。もっとも俺が適当にあしらっていたためそれほど暴れてはいなかったが、とにかくドラゴン達が動きを止める。主からの指示がなくなったためだろう。
「召喚獣達は姿を消していないが」
「命令がない以上戦いはしない」
「こいつ等いつになったら消えるんだ? 主が気絶したんだから同時に消えるものじゃないのか」
「召喚獣の顕現時間は召喚時に送った魔力によって比例する。一概には言えんがあと数分じゃないのか」
そうか、このまま大人しく消えてくれるんなら問題ないか。
「それなら、後は審判からの宣言を待つだけだな」
すでに両者共に戦闘不能には追い込んでいる。勿論まだ立ち上がってくるだけの体力は残っているが、審判が駆け寄り俺達の勝利を宣言した。これで今日の試合は残りひとつとなった。
「試合終了の合図がなされました! 観客たちも四人全員に惜しみない拍手を送っています!」
「それにしても凄い火力でしたね。転送魔法無しであれ程違うとは」
「いや、威力自体は大差無い。問題なのは連射速度だ。一瞬であれだけの数を発動できる奴などこの国に何人いるかもわからん。……そもそも転送魔法にしたって高難易度魔法だ、それをあれだけの速さで連発していたことだって尋常ではないな」
実況席ではオリヴィエの魔法について解説やらを談義していた。
「おい、さっさと帰るぞ」
「ああ。……お前、その左手」
オリヴィエは何故か急いでフィールドから降りようとしている。よく見ると左手の手袋が焦げているようだ。
「これか? そうだ、見てのとおり手袋が焦げている。送り飛ばしていないからな」
「自傷するのか? 確か自分へのダメージは無いんじゃ」
「識別型の爆発魔法も存在するが、それは発動に時間がかかりすぎる。最短でも十分ほど……魔法薬として保存しておかなければとてもではないが実戦では役に立たん」
あの魔法そんなに手間のかかるものだったのか。しかも離れた場所で発動すれば自爆する心配が無いという事実を加味すればとてもコストに見合った魔法とは言えないな。まあ近距離戦を強いられた時の保険か。
「ところで話は変わるが、このドラゴンが消えるまで障壁は解かれないのか」
「ああ、その場合障壁解除と同時に……」
オリヴィエがその後の言葉を言い終わる前に障壁が解除された。そしてそれと同時に数名の騎士らしき人物がフィールドに上がりこみ、信じられない行動に出た。
「何……」
「……障壁解除と同時に騎士が召喚獣を素早く始末することになっている。流石に見事な動きだな」
「……暴れる心配があったのか?」
「その心配は限りなく無視していいレベルだが、あるにはある。しかしあの行動の真意はより円滑な大会運営のためだ」
ドラゴンたちは呻き声を上げる暇も無く姿を消していく。たかだか数分も待てないとは、相当優雅から離れた国際行事だ。




