二対一
「くそっ……!」
体勢を崩しながらも矢を避けたか、流石に逃げ足も速いな。
「もうわかっていると思うが、当然矢には魔力が込められている。その体勢からどう避ける?」
矢を放ったまま残身をとり続け、何も持っていない右手の指をパチンと鳴らし、矢に込めた魔力を開放させる。
「指を鳴らすと同時に次の攻撃か、随分ときざな真似をするな!」
「指を鳴らしたのは魔法を発動するルーティーンではないぞ?」
「私が攻撃に参加する合図だ」
「何……!? いつの間に……!」
魔法発動の瞬間にすでに駆け寄っていたのか、すぐに攻撃に参加してくる。さらに体勢を崩した状態でのオリヴィエの斬撃、さらにダメ押しの爆撃、とても捌ききれるものではないな。相手に一太刀をあびせた後爆風で数メートル吹き飛んでいくのが見える。
「……もっとも、指を鳴らすのを合図に連携攻撃を仕掛けるというのもキザではあるがな。かっこつけ過ぎだろ」
「それはお前の立案だろうが!」
「ん? そうだったかな?」
相変わらず都合のいい事言いやがって。
「ま……さか……あれだけ自分が戦うといきまいておきながら、結局その女にも攻撃させるとはな」
「あれを食らってまだ喋る余裕があるのか。大したものだな、喉は確実に焼き払ったと思ったのだが」
「はあ……はあ……」
「ほう? もう全体的なダメージも回復しつつあるのか。最初から私にそれをやっておけば倒せぬまでも手傷くらいは負わせられただろうに」
「話を長引かせるな、回復しているんだぞ」
まあ思わず話しかけたくなる気持ちもわからんでもないが、さっさと深刻なダメージを負わせておかないと泥仕合になりかねない。
「見てわからんか? もうすでにこいつの魔力は底をついてきている。これ以上戦ったところですぐ私達にに平伏す事になる」
確かにこの男の魔力は当初のころに比べればかすかなものになっている。流石に怪我は治せても魔力の方はどんどん消費し続けているからすぐに倒れる事になるようだな。予想以上に燃費が悪かったということか? いや、戦闘中のこいつの魔力は安定しているように見えた。というより不安定な状態が一瞬でもあれば見逃すはずがない。
「……お前、回復速度が落ちてないか?」
「ふん……気づいた時には、もう遅い」
「味方に魔力を送っていたか……」
「手を抜いて戦っていたのは時間稼ぎのつもりだったのか? どっちにせよ愚策としか言いようがないが」
とはいえこれで残りの奴は魔力を温存したまま更に強力な魔法を扱えるようになったわけか。自分を捨て駒にするからには相当なパワーアップなのだろうが……二対一の数的不利を覆せるほどの力は得たのか?
「フフフ、そろそろ本番と行こうか……」
「生半可な向上では私達の相手など務まるはずがないが、まあ期待せずに戦うか」




