不意打ち
「まさか……この動きを見切れるとは……」
「悪いが俺も徒手空拳の方は自信があるのでね。たとえ弓を持っていて片手がふさがっているとはいえ……そう簡単に遅れは取らん」
「だがこのままではいたずらに時間を消費するだけ……一度距離を取ることをおすすめするよ。俺から逃れることができるならね!」
「その必要はない。……それにしても随分と余裕だな……まだ本気で戦う気にならないのか?」
こいつなら俺も本気で戦っていないことは理解しているはず……この調子で続けてもお互いに決定打を決めることはないという事くらいわかるはずだが。こいつの相方と言い、何故ここまで試合を長引かせようとしているんだ。
「その言葉……そっくりそのままお返ししよう」
「俺が本気を出さないのとお前が本気を出さないのは話が違うだろう。俺とお前とでは切れる手札の数が違う」
「俺の手の内がこの程度だとでも思っているのか? 随分と甘い見立てだ!」
「そうか、選択肢が多くて選ぶのに時間がかかるんだな? だったらその手札……少しばかり削ってやろう」
俺は相手の胴体を狙って回し蹴りをするが、相手も即座に対応し回し蹴りを合わせてくる。交差する足は互いに強い衝撃を受けながらも、お互いともにクリーンヒットを防ぐことに成功する。その後俺は一瞬で相手の背後に回りこみ、矢を弓に番え、狙いをすまし引き絞る。
「後ろか!」
「言い忘れていたが、弓を引く隙ならすぐに稼げるぞ」
そう言いながら俺は引き絞っていた弦を離す。そのまま至近距離から放たれた矢は相手に向かって勢い良く飛んでいく。
「この程度の攻撃……! 見切れぬ俺ではない!」
「……周りを良く見たらどうだ?」
「何!?」
俺の放った矢は相手に向かって真っ直ぐに飛んでいったが、その矢を相手は身体を翻しながら見事に交わす。その動きは見事なものだが、今のは回避ではなくなんとしても止めるべきだったな。標的に当たらずそのまま宙を飛び続ける矢はそのまま射線上にいるオリヴィエへと飛んでいく。
「やっと矢を飛ばしてきたか……」
オリヴィエは俺が射た矢を二本の指で挟むように触れ、そのまま転送魔法で瞬間移動させた。
「がっ……!」
移動した矢は相手の膝に向かって命中し、そのまま相手は姿勢を崩した。




