無意味な話し合い
「……よし! 試合に向かうぞ」
「良いのか、あいつ等が優勝した方が都合が良いんじゃないのか?」
「冗談にしては笑えんな。この私が奴らより格下扱いされてどう都合が良くなるというんだ?」
ああ、そうか、こいつが優勝逃すとそういうことになるのか。そう考えると色々と詰んでるな。
「じゃあ目的は優勝のままだな。以前変わりなく」
「当然だ。我が一族があの男より劣るなどという事は絶対にあってはならない。どんな手段を用いてでもな」
「もっともあの二人が決勝まで勝ち進んで来たらの話だがな」
「フ、まあその通りだ」
そうは言ってもあの爽やかイケメンコンビなら問題なく決勝まで駒を進めてくるだろうがな。
「まあそんな先の話をしても意味のない事だ。次の相手に集中しよう」
「ああ、そろそろ入場のようだな」
会場へと続くゲートから二人組が出てくる。その表情から察するとどうやら勝ち上がったらしい。次は俺達の出番だな。
「おいおい、随分と盛り上がりに欠ける会場だな。本当にベス八位決定戦か?」
「どうやら他の会場の方で大接戦が行われているらしいな」
「それでこっちが割を食ってるのか?」
「でなければ単純にこっちの試合に魅力がないだけなのではないか?」
魅力がないか……まあ仕方ないな。こればっかりは相手の華とかも関係してくるからな。
「なんかもうブーイングも無くなってきたな」
今まで俺達が入場してきたときは非難ごうごうといったよう状態だったが何故かそういった観客達の悪意も影を潜め、とはいえ声援もないが、とにかく静かなものだった。
「ふむ、思い当たる節がある」
「何か知っているのかオリヴィエ」
「私達はこれまで危なげなく勝ち上がってきた」
「ああ、当然のことだ」
「だが、もしもその当然が今回もあると観客達が思いこみ始めたらどうなると思う?」
どうなる? もしそうなったら……そうか、そういうことか。
「どうせ勝つから他の試合を見ようとなるわけだな?」
「その通りだ。それは当然我々のファンが少ないという事実に帰結する。どこぞの優勝候補は全試合満席状態らしいからな」
まさかとは思っていたが、華がないのは俺達の方だったか。
「ここまで勝ち上がってもまだその程度の相手だと思われているらしいな。偵察もいなさそうだぞ」
「今残っている中でそんな事をする奴は少ないからな。どうやらこそこそバレずに行動する事を卑怯だと思っているらしい」
「まあ……好都合ではあるが、少しばかりつまらないな」
「なら盛り上がるように行動するか? ピンチでも演出して」
「そこから逆転して観客達のカタルシスを掴むのか? 俺達のデュエルはエンターテイーメントではないし、それを実行する才能もないだろ」
というより俺達はそういう事は向いていないな。明らかに悪役顔だし。




