親族の考え
「……俺の失言だったか……らしいはダメだよな……」
「一応聞いておくが情報源はどこだ?」
「それ、わざわざ聞く必要あるのか? 俺の知り合いでそういうことを知ってそうな奴なんて限られているだろ」
「いや……具体的にどこの誰と答えられる相手かどうか聞いておきたかっただけだ」
知っていて聞いてきたか。教えたらどういう話をしたのかも教えなければならないからな……どの道教えるつもりはないが。俺とこいつは、いや……俺達とこいつの一家は目的が違う。
「情報源は明かさないのが礼儀だと思うがな」
「その通りだ。だから私も詮索しないようにしておこう。知ってしまったらそれなりの行動をしなければならないからな。そしてその行動は貴様にとって都合の悪いことだ」
「今は仲間割れをしている場合じゃないな。わかった、俺も詮索は控えよう」
これはもう多少の小競り合いは確実だな……ナタクの奴め、何が俺達が優勝すれば回避出来るだ。完全に秒読みが始まっているじゃないか。……それともまさかとは思うが、あの連中俺達が優勝を逃すとでも考えているのか?
「オリヴィエ」
「なんだ? まだ聞きたいことがあるのか?」
「これはあくまでも、優勝候補の王子様チームの事情に詳しい奴への質問なんだが……あいつ等が優勝を逃したとして、そいつ等の親族が自棄になって国際問題を起こすと思うか?」
「……! それは、確かにそうだが……」
オリヴィエの表情が驚きと戸惑いの色を浮かべ始める。どうやら自分達の勝敗が後にどういう結果をもたらすか考えていなかったようだな。あの二人が優勝すればその勢いに乗って攻めてくる可能性もあるだろうが、負けたとしたらどうだ? 増してや負けた相手が確執の深いヴィンクラー家だとしたら? 間違いなく志気は下がるだろう。ナタクの読みでは戦争は回避されることになる。
だとしたら俺達が優勝しないことを望んでいるのか? それとも逆に攻めていくのか……しかしこの国は基本的には中立国、自分からの開戦は相当な大義名分が必要になる。それではあくまでも危機管理としての行動なのか。それなら何故国が主体にならない?
「どうしたオリヴィエ? 顔色が悪いぞ?」
「い、いや……何でもない」
「そうか。それで? あいつ等が調子に乗って馬鹿な真似をしてくるとしたら、我々にとっては不名誉な事態に陥っている事になるな?」
「そういう……事になる」
「つまりあえて聞かされていない、のあえてというのは試合に集中しろ、ではなくどう転んでも不本意な結末になる。それを隠すための事らしいな」
だとしたら、どういう結果を選ぶかは俺達次第というわけだ。一般論としては優勝を目指すべきだが、ヴィンクラー家の望みとしては、どういう結果を求めているのだろうな。そしてその要望に応えるかどうかもオリヴィエ次第か。




