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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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資料確認

「武器を決める? ……そう言えば一度も同じ武器を使っていないな。まさか一度も同じ武器を使わずに決勝まで突き進むつもりか?」

「それが相手に対して負担になるなら迷わずそうするだけだ。次の相手もそういう考えらしいからな」


 トーナメント表を確認しながら答えた。次の相手選手は相手の弱点を徹底的に攻撃し続ける基本戦略を組んでいる。弱点を晒さないように試合をこなしてきたが、俺達にどんな戦い方を仕掛けてくるか楽しみだな。


「確か次の相手は清国出身らしいな?」

「そうらしいな。道力(タオリー)を用いて戦う道術士らしい」

「道術?」

「ああ、物質を四大元素ではなく、五行として考える術だ。火、水、木、金、土の五つ、陰陽道にも受け継がれている考え方だな……四大元素には優劣関係は無いという考えだが、五行思想においては火は木を燃やすが水によって消火されるという優劣関係が五つで循環するようになっているのが特徴だ」


 俺が五行思想について説明を始めようとしたが、それはエリーに遮られた。


「ちょ、ちょっと待った! そういう専門的な話は後で聞くから!」

「ん? そうか? じゃあ止めておこう」


 ここらへんでいったん説明を止めた。


「それで? 自信はあるのか?」

「ああ、こっちも色々と調べているからな……より多くの情報を手にした方が試合を制するだろうな」

「それならばこちらが有利か……? 次の手の内を予測する事も容易ではないだろうからな」


 確かに次の一手を隠せるが……そろそろあえて同じ武器で挑むべきか? むしろそっちの方が裏をかけるかもな。


「そう言えば相手の事はどれだけ知ってるんだ?」

「詳しいことは資料に記載されている。概ね相手が最も嫌がる戦い方を仕掛け続けるタイプらしいな」

「……あまり仲良くしたいタイプじゃないね」

「そうか? 苦手な戦い方があってその戦い方を仕掛けて来ない方が馬鹿だろう。逆に聞くが、わざわざあえて弱点を攻めない戦いをする理由は何だ?」


 全員に資料を見せながら率直な感想を述べた。


「いやー、正々堂々と真っ正面から戦うタイプの方が好感持てると思うんだけど……」

「それは勿論そうだが、あくまでもいかなる手段を用いても良いという前提があればの話だ。その条件で尚も真っ向勝負してくるからこそ意味があるわけだろ?」

「それは完全に性格の違いだと思うわよ? 私は複雑な駆け引きなんてされても理解できないから、単純に殴り合いしてくれた方が楽しいわね」


 それはそれで色々とツッコミどころがある意見だな。


「おい、おいおい、お前の次の相手って双子の姉妹かよ!?」

「ああ、もっともあまり似てないらしいから恐らく一卵性ではないな」

「すっげぇ、見分け方までしっかり書き込まれてやがる……」


 そういう細かい違いまで書き込まれているのだから俺自身驚きを隠せない。


「そうだオリヴィエ……残り三連戦だが調子の方はどうだ? どこかで力を温存したほうが良いと思うが」

「さしあたって問題はないだろうな。それに恐らくだが、そろそろ一騎打ちで戦う事になるかもしれんからな」

「……どういう事だ?」


 オリヴィエの体力温存の為に調子を聞いたが予想外の答えが返ってきた。


「簡単な話だ。貴様の言うとおり体力温存の為に一騎打ちで決着をつけるという戦略が行われている場合がよくあるというだけの事だ」

「それで納得出来るのか?」

「出来る出来ないではなく、そうならざるを得ないな。二対一の不利を逆転する事も容易ではないし、勝てたとしてその後のデュエルにも影響が大きく出てしまうからな……それ故に一騎打ちの決着でそのまま棄権する場合もあり得るということだ」


 なるほど、いずれかのタイミングで一騎打ちの形にしないと身体が保たない訳か……その場合不意打ちをして来ない相手を見抜く必要があるわけだな。


「俺達の場合常に不意打ちを気にする必要がありそうだな」

「その通りだ。一騎打ちになったら貴様に任せておこう。貴様では本当に不意打ちを仕掛けられても反応に遅れそうだからな」


 ほう? こいつが戦いたがらないとは……隠してはいるが、案外辛いのかもな。


「そうだな。俺が戦おう」

「そういう事情を私たちに教えていいのか?」

「問題あるまい。おまえ達と当たるのはどうあっても明日なのだからな」


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