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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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生徒会

「生徒会?」


 今日の授業も終わり、放課後寮に戻ろうとした俺をカルラが呼び止める。

 何でも先生に勧められたらしい。


「はい、それで一人では心細いのでお兄様もご一緒に生徒会室まで来ていただければと」

「いや、呼ばれてないやつがついていくのはどうかと思うが。まあいいか」

「やっほー! 何話してるの?」


 突然声をかけられた。振り向くとエリー達が集まっていた。


「なんだ、お前か」

「なによそれー! あ、もしかしてさくらじゃなくて残念だった?」

「お前なにふざけたこといってんだ」

「じゃあ、オリヴィエ」

「別にそういう意味で言ったわけじゃないぞ」


 おい、なんだその目は?

 そんな目で俺をみるな。


「で? 実際どうなの」

「なにが?」

「だから何の話してるのって」

「ああ、こいつが生徒会に推薦されたんだ。で、一緒に付いてきてくれだとよ」


 俺は、カルラを指差す。


「へー、あ! じゃあ私も一緒についてく」

「い、いえ。お兄様と二人だけで」

「ああ、あまり大人数で行くと迷惑だろう」

「えー、つまんなーい」


 お前な……。


「おい、素良天蓋!」

「オリヴィ……エ? ……」


 オリヴィエ……。なんでだ? なんで今朝と同じ全身黒一色になってんだ。つーか複数あるのか、その服。

 あ、手袋が包帯になってる。


「そ、その格好は校則的に」

「なにを言ってる。規則では制服を着なければならないのは授業中だけだ。つまり放課後は私服で校内を歩くことが認められている。でなければ、部活のユニフォームも規則違反になってしまうからな」


 いや、そういう意味では……。

 それ以前に私服なのか……。


「えーと、それで俺に?」

「約束しただろう。今朝」


 今朝? デュエルの時か。 約束? まさか賭のことか?


「コーヒー云々のことか?」

「ああ、おごってやる。約束だからな」

「悪い、これからこいつらと一緒に生徒会室まで行くことになったんだ」


 素直に謝ることにした。まさかその日の内とは。日を改めると思いこんでいた。


「皆で行ったら迷惑じゃないか? それに貴様は私と同じ独りに安らぎを感じるタイプだと思ったが」


 大きなお世話だ。でも一理ある。


「確かに俺はついていかなくても」

「どうしてです!? 今一緒に行くと!」

「でも約束したからな。おごってもらうって」

「それでは、一緒に行動するのはどうでしょう? 私達全員で食堂に行きましょう」

「素晴らしい案ですねさくらさん! そうしましょう!」


 なんか決定した。


「貴様等の分はおごらんぞ」


 オリヴィエは当然の言葉を吐く。 

 そんなこんなで皆で生徒会室へ向かう。


◆◆◆◆◆


 「失礼します」


 カルラがドアにゆっくりと三回ノックする。

 どうぞ、という声がかかったのでドアを開けるカルラ。


「よく来てくれたわね」


 中央の机に座っている女の人が声をかけてくる。

 あの女は、今朝のデュエルの時に見学していたな。オリヴィエが生徒会だといっていたが、生徒会長だったのか。

 そういえばあの時いたやつが何人かいるな。


「あなたは確か今朝の」


 俺の顔を見ると思い出したかのように話しかけてくる。


「義妹が一緒に来てほしいと言うので、俺のことはすでにご存知かと思いますが、素良天蓋といいます」


 軽く挨拶をすます。


「ええ、よく知っているわ。なにせあのオリヴィエちゃんに完勝するほどの実力者ですもの。すごく驚いたわ」


 会長の言葉に室内がどよめく。


「まさか!? 本当ですか」

「兄妹そろってすごいな」

「会長のほかに誰が見学していたんです?」

「俺と風紀委員長だ。ほかは当事者の知り合いだな」

「へぇー」

「本当は上杉君も誘ったんですけど、体調不良で来れなかったのよ」

「えっ。あいつ普通にこの部屋で仕事してましたよ。いま外出中ですけど」


 会長が驚いた顔をする。


「それは本当ですか」

「おおかた会長のパシリになるのが嫌で断ったんですよきっと」

「ふーん、私にそんな態度取っちゃうんだ」

「ええ、あいつはそういう奴です。腹黒いんですよ。……え? 何故俺の顔を見てるんです?」


 一言多いやつだな、こいつ。


「じゃあ、上杉君以外は全員そろっているのね」

「はい、あいつももうそろそろ戻ってくると思いますよ」


 そういうと、噂をすれば影が差すというのか。ドアからノック音が聞こえる。

 そして、ドアが開きそこから黒髪の美少年というべき男が現れる。

 よく見た顔だ。瓜二つじゃない、間違いなく本人であるということは、彼の顔がみるみる青ざめていくことからわかる。

 ナラクーヴァラ、何でこいつがここに、この学園にいるんだ?


「あ……、あ、貴方は……。何故」


 こっちのセリフだ。俺がこの世界に転生していることはすでに知っているはずだろう。

 他の学校に誘導しろよ。


「あれ? 知り合い?」

「ええ、ほんの少しだけ」


 エリーの言葉に、カルラが答える。


「生徒会会計の上杉ナタクです。よろしく」


 ナラクーヴァラ、ここではナタクと名乗っている。つまり中国、いや上杉を名乗るのだから日本……まてよ?

 ナラクーヴァラはクヴェーラの三男坊だ。クヴェーラといったら毘沙門天。つまりこいつの親であるクヴェーラも上杉。

 上杉、日本、毘沙門天、戦国? おいおい、まさか嘘だろ!?


「あいつやっぱり越後の竜だったのか!?」

「一体何の話です?」


 だってお前毘沙門天の子供じゃん! まじかよ! じゃあ、あいつ甲斐の虎とか第六天魔王とかと面識あるのか!? すげー!


「悪い、興奮し過ぎた。あいつ一度もお歳暮とかで塩送ってこないから違うんじゃないかと思ったんだよ。逆に送ろうかな、塩」

「それ暗に敵対宣言してることになりません?」


 それか! だから送ってこなかったのか。


「そ、そんなに有名なの? 上杉君の親って」

「有名どころか『有名』が通り名として存在しているやつですよ」

「へ、へぇ……」


 そう、毘沙門天の別名として多聞天というのがある。

 より多く聞く事がある、つまり有名という意味だ。


「なあ上杉、お前俺にはタメ口の癖になんで後輩に敬語なの?」

「それは複雑な事情があるんですよ、先輩」


 デュエルの時いた先輩に俺が答える。


「どんな?」

「プライバシーに関することなので」


 その瞬間、はっとした。俺こいつに普通に話し掛けてるけどやばいよな。こいつ絶対俺と話……いや、顔も見たくないだろ。


「じゃあ、俺帰りますね。ナタク先輩に迷惑がかかるんで」

「そ、そうかい? イヤーザンネンダナ」

「複雑な事情がどんな事情なのか聞きたいな~。ねぇみんな?」


 会長の言葉にエリーが悪ノリしてくる。


「私も賛成!」

「じゃあ俺も」

「私は……反対するわ。あまり詮索するのは……良くない」


 ミーシャ、俺はちゃんとお前のこと信じてたぜ。


「そうですよ! お兄様の名誉の為にも知る必要はありません!」


 お前もしかしてわざと言ってるのか? なんで餌を撒く? 食いつくだろ、確実に。

 やめろ。俺をみるな。とっさに言い訳を言う。


「いやー、先輩の許可が」

「え? 俺の?」


 お前ふざけんなよ!? 逆にいいの!? お前にとっても不名誉だろ!?

 俺は別に良いんだからな! ぶちまけてやっても!


「だってお前の嫁との関係とか……」

「ちょっと二人きりで話をして良いですよね!!!???」


 俺の言葉を遮るようにナタクが有り得ない大声を張り上げる。

 その後、二人で生徒会室を出て行く。

 流石に俺に、このヴリトラにハニトラ仕掛けたやつと、結婚してますってばれるのはヤバすぎるってわかるよな?



「あの、本当にすみませんでした。この通りです。悪ノリしたことは謝ります。土下座もしますし靴だって舐めますから。何でも言うこと聞きますから。本当に許してください。でも、一つだけ良いですか? いきなりその話は無いでしょう? 他にいくらでもあるじゃないですか? なんでよりによってその話題から何です? 俺学生じゃないですか? 一応17齢ということになっているんですよ? 絶対いろいろきかれるじゃないですか? あいつらどんだけしつこいかなんとなくわかりません? 特に会長。せめて、せめて婚約者ということにしていただけませんか? 本当にお願いしますから」


 ガチ泣きするほどなのか。じゃあ初めからふざけるなよ。俺の性格把握してるだろ。


「わかったから泣くな。さっさと戻るぞ」


 そういうと再び生徒会室にもどる。


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