奇々怪々―記者が集めた十の声と影

誰かが聞かなければ消えて、誰の記憶にも残らない話がある。
老婆、青年、登山者、老夫婦──記者が訪ねた先で、人々は静かに語り始める。
怪談か、思い出か、それとも感情の残り香か。
螺旋階段を上がる音。檻の中の狸。霧のように消えた車。すべり台の横に立つ女。
語られるたびに、影が揺れ、声が残る。
十の語りに、十の怪異あり。
語り継がれる奇々怪々──
あなたの記憶に、残るのはどの怪異だろうか。