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転生したら猛毒ハーレム♡  作者: たんすい
第6章:英雄たちの休息
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第65話:大浴場ハーレム♡(後半)

 湯気が立ち上る湯船は、全員で入っても余裕のある広さだ。


挿絵(By みてみん)


「はぁ~、生き返りますわね♡」

 ファカが湯に沈み、満足げに息を吐いた。


「主様、背中をお流ししますです」

 ムーが俺の背後に回り、大きな手で優しく洗い始める。


「旦那様、こちらへ。わたくしが隅々までお清めいたしますわ」

 ショウコが丁寧にスポンジを手に近づいてくる。


 サリヴァとベニーは湯船の端でじゃれ合い、湯気の向こうで、みんなの笑い声が響く。この異世界での絆が、また一つ深まった瞬間だった。


 ただ、一人、シルフィだけはまだ脱衣所にいた。

 彼女は深く息を吸い込み、震える指先で衣服に触れながら、決意を固められずにいた。


 翡翠色の瞳には、微かな不安が宿っていた。

 三百年に及ぶ残虐な拷問は、彼女の身体に深い傷跡を残していた。

 胸部は抉られ、乳房の痕跡すらなく、引きつれた瘢痕が広がっている。

 下半身も同様で、火傷や切り傷の痕が無数に刻まれていた。

 裸体を晒すことは、過去の屈辱を再び呼び起こす行為に等しかった。


挿絵(By みてみん)


 特に、カイにこれを知られることが、彼女の心を最も苛んでいた。

 彼は仲間として受け入れてくれた。

 時には優しい視線を向けてくれる存在だった。

 その眼差しが、憐れみや嫌悪に変わってしまうのではないか――

 その恐れが、シルフィの胸を締め付けていた。


 湯船では、皆が和やかに語らっていた。

 シルフィは最後に残り、湯気の立ち上る広大な浴槽を前に、静かに立ち尽くしていた。



「シルフィ、無理しなくていい。嫌なら後で入ってもいいんだぞ」

 カイの穏やかな声が、彼女の背中をそっと押す。


「……いえ。あなたなら、こんなわたくしでも受け入れてくださると……信じていますから」

 彼女は小さく頷き、ゆっくりと衣服を脱いだ。


 裸体が露わになる瞬間、彼女の心臓は激しく鼓動する。

 胸部の平らな瘢痕、下半身の歪んだ傷跡――

 それらは、三百年の拷問の証として、彼女の身体に刻まれていた。


 湯船にいた全員の視線が集まる。

 シルフィは本能的に腕で胸を隠そうとしたが、ぐっとこらえた。

 代わりに、静かに湯に近づき、カイの隣にそっと腰を下ろす。

 空気が一瞬、重くなった。


「シルフィ……」

 カイの声は低く、驚きと痛みを帯びていた。

 彼の視線は、彼女の傷跡を真正面から見つめていた。


 シルフィは目を伏せ、唇を噛む。


「……醜いでしょう? わたくしは……こんな姿を、カイには見せたくなかった……」


「誰一人として、そんな風に思う仲間はここにはいない。さぁ、シルフィ」

 カイはそう言うと、シルフィの手を取り、ゆっくりと湯船の中へと導いた。


 ファカが静かに口を開く。

「シルフィ、それはあなたの本質ではありませんわ。あなたは美しい。傷跡は、ただの過去の影ですの」


 ショウコも優しく加わった。

「わたくしも、そう思います。シルフィ様は、誰よりも強く、美しい方です」


 ムーとサリヴァ、ベニーも、それぞれの言葉で励ました。

 皆の視線には、憐れみではなく、敬意と絆が込められていた。


 カイはゆっくりとシルフィの背後に回り込む。


「シルフィ、俺はそんな傷跡でお前を判断したりしない。お前は俺たちの大切な仲間だ。過去の苦しみを乗り越えて、今ここにいる。それが、お前の強さだ。……もし嫌じゃなければ、俺が背中を洗うよ。みんなで、支え合おう」


 シルフィの瞳に、温かい涙が浮かんだ。

 彼女はこくりと頷き、カイの手に自分の背中を預けた。


カイはスポンジを手に取り、その傷跡の一つ一つを慈しむように、優しく洗い始めた。


 その瞬間、傷跡の痛みが、少しだけ軽くなったように感じた。

 湯気の向こうで、仲間たちの笑い声が再び響き始める。


 シルフィは、初めて心から安堵し、皆との絆を実感した。

 この入浴は、ただの清めの儀式ではなく――

 彼女の過去の枷を解く、温かい一歩となったのだった。

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